【記事】ラッコ501号を救え!(1)| Saving Otter 501-part1

今回は、らっこちゃんねるを始めるきっかけの1つとなった"Saving Otter 501"をご紹介します(書き起こし)。2014年6月にNHKでも放送されました。母親とはぐれた生まれたばかりのラッコ"501号"と、そのラッコを救うために奮闘するモントレーベイ水族館のスタッフたちと代理母ラッコを描いたドキュメンタリーを数回に分けてご紹介します。

はじめに

らっこちゃんねるを始めたのは2014年の4月です。

そのきっかけになったのは、以前翻訳したThreatenedという番組と、このSaving Otter 501という2つのドキュメンタリー番組を見たことでした。

この2つの番組を通じてラッコが環境を守る大きな役割を果たしていること、そして、一度はラッコを絶滅に追い込んだ人間が、どのようにしてラッコの保護に取り組んでいるかということを知りました。

モントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムは、気の遠くなるほどの忍耐と、努力と愛情をラッコにそそいでいます。たった1匹のラッコを自然に還すことがどれほど多難であるかは、想像をはるかに超えるものでした。

これらの取り組みについて、日本のみなさんに是非知っていただきたいと思ってこのらっこちゃんねるを始めました。

本来はまっさきにご紹介したかったのですが、PBSのオフィシャルサイトのフルサイズの動画が見られるのはテレビで放送している期間だけらしく、翻訳を始めたところで動画が見られなくなってしまい、その後なかなかチャンスがありませんでしたが、今月になってPBSが再放送を始めたので、またフルサイズの動画を見ることができるようになりました。

 

先月(2014年6月)日本でこの番組らしきものがNHKで放送されたということを、つい最近知りました。(地球ドラマチック「ラッコの赤ちゃんを救え!~“501号”が海に帰る日~」というタイトルだったようです)ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本での放送を見ていないので翻訳など間違っているところがあるかもしれませんが、よろしければご覧ください。

 

この番組が、すべてのラッコ好きの方、そして、自然を愛する方にとって、この先の人生にちょっとの変化を与えるきっかけになれば本望です。

 

パート1は本編の8:40くらいのところまでの書き起こしです。

トレイラー(予告編)

トレイラー

カリフォルニアの沿岸で何かが起こっています。
これは親を失った子どものラッコです。

 

メイヤー「この子は非常に疲弊しています」

 

このラッコはリカバリープログラムへ。

 

メイヤー「私たちはこの子のためにたくさんの役割を果たしてあげなければなりません。最終的に野生に返してあげるために」

 

しかし、すべてのラッコがうまくいくわけではありません。

 

ハザン「サメのかみつき?」

メイヤー「ひどいね」

 

それでも、野生のラッコたちの未来はこのプログラムにかかっているかもしれません。

タイトル:ラッコ501号を救え!

水族館の裏側で

メイヤー「この子は、ここ、デルモンテビーチに打ち上げられました。生後6週から8週間の雄のラッコです。」

 

カール・メイヤーは定期的にこの海岸を歩いていますが、遊びに来ているわけでありません。彼は、モントレー湾水族館の外で活動しているラッコ研究保護プログラムの動物ケアコーディネーターなのです。

 

メイヤー「偶然母親とはぐれて浜に打ち上げられる場合もあります。しかし、年齢と状況から考えて、この場所ではそのようなことが起こることは考えづらい。母親に何かが起きたか、母親が自分と子供のために十分餌が獲れないため、捨てられてしまったかどちらかでしょう。この辺りには子どもを呼んでいる雌の声も聞こえませんし、姿も見えません。今の時点でこの子は酷く衰弱しています。だから、一度水族館へ連れ帰って、対応を決めなければなりません。」

 

メイヤーと彼のチームは、北カリフォルニアで捨てられたラッコや傷ついたラッコを救出して水族館へ連れ帰り、対応を見極めます。

 

モントレー湾水族館は、世界の中でももっとも忙しい水族館の一つです。

年間200万人近くがこの巨大な水族館を訪れます。

来場者のほとんどは、クラゲや、ウミガメやマンボウを見て楽しみますが、その裏側で水族館が本来どんな仕事をしているかということを知りません。

 

巨大な水槽と30センチ余りの厚さのガラスの奥に、水族館の中枢である、多忙な研究リハビリ施設があります。そこは1日24時間、海洋生物を観察・調査しており、必要な際に保護をしています。

 

カール・メイヤーが、浜に打ち上げられた子どものラッコを水族館の医療施設に連れてきました。検査をします。

 

メイヤー「酷く衰弱しているだけなのかどうか・・・」

 

この部屋は、このラッコにとって唯一生き延びるチャンスを与えてくれる場所なのです。

 

獣医師「見たところ大丈夫そうだね。バイタルサインは良いよ。歯茎もきれいなピンク色をしている。」

 

助かったラッコに与えられる選択肢はわずかです。

助けることができなければ、安楽死させられる。それでなければどこかの水族館で展示用のラッコになるかです。

 

獣医師「・・・(聞き取れず)は132。だから、まあ、いいね。

 

しかし、この水族館には重要な3つ目の選択肢があるのです。リハビリをして、自然に戻すのです。

そのチャンスを与えられるラッコは多くありません。

このラッコについて最終的な評価は定まっていません。しかし、メイヤーのチームは、ゆっくり考えている時間はありません。
彼らは忙しいのです。

メイヤーのチームは週に何度も通報があり呼びだされます。

新しい子どものラッコの保護や、リハビリを経て自然に戻された後、弱ってしまったラッコを再度保護するためです。

緊急の呼び出しのため、大波のうねる外海や、流砂のように危険な沼地にも出かけていきます。

幸運にも、メイヤーたちは無事にラッコたちを連れて水族館へ帰ることができています。

501番目のラッコ

(C)PBS
(C)PBS

このラッコは今日、やってきました。

小さな、生まれたばかりのラッコです。水族館から南へ約190㎞、モロベイ近くの浜に打ち上げられていました。

この雌のラッコは、1984年にラッコ保護プログラムが開始されてから501番目に保護されたラッコです。

 

メイヤー「この、生後3日の雌のラッコは、今朝ここに到着したばかりです。このラッコの場合、今のところ、一番いいシナリオは、このラッコの状態を安定させ、哺乳瓶から人工乳を飲めるようにさせることです。反対に、最悪、このラッコの免疫力が十分に発達していない場合、諦めることになるかもしれません。その場合、死んでしまうか、もしくは安楽死という結論になります。

 

この後の数日間の様子によって、この501号がどの道を進むことになるかが決まります。

ここに連れてこられても、もといた自然に戻れるラッコは多くありません。

 

リハビリ施設として、この水族館は理想的な場所にあります。

モントレー湾の端に立地し、世界でも最大級の海洋保護区の入り口でもあるからです。

カリフォルニア中央部は岩場と砂浜があり、様々な動物たちの棲家となっています。

 

カリフォルニアラッコのような生き物にとって、餌が豊富で天敵の少ないこのような恵まれた場所は多くありません。

このような場所ならラッコがリハビリを受け、自然に戻ることはたやすいことだと思われるかもしれませんが、そうではありません。

ラッコは、生き延びるために特別な手助けを必要とします。厳しい状況に直面して生きています。ここでうまく生きていくために、母親から受け継いだ生きる知恵を持っているのです。ラッコたちは生まれつきそうした知識があるわけではありません。特別なグルーミング技術から餌の選び方、基本的な道具の使い方まで、全て学ばなければならないのです。

 

メイヤーのチームがやってきたのは水族館の屋上、501号が世話されている集中治療室から数メートルのところです。幸運にも保護されたラッコたちが日常に必要なことを学びます。

 

サンドリン・ハザンのようなシニアアニマルケア専門家の力添えで、ラッコたちは少しずつ、「ラッコらしくなる」ことを学んでいきます。

サンドリンにとって、ラッコの世話をする仕事は夢でした。しかし、その仕事は驚くほど過酷でした。

 

ハザン「ラッコの子どもの世話をするのは、非常に労力を必要とします。ラッコの赤ちゃんというのは、本当に何もできません。できることといえば、浮いていることくらいです。毛づくろいをすることも、餌を獲ることもできません。泳ぐこともできません。ほとんど何もできないのです。まさに、人間の赤ちゃんみたいです。寝て、食べて、寝て、うんちして。だから、私たちは全てのことをしてあげなければなりません。母親代りです。」

 

このラッコ研究保護プログラムは、世界中をみても珍しいものですが、それは、驚くべき偶然の産物だったのです。


パート2へ続く

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