【記事】ラッコの写真を覗いてみよう | Sneak a Peek at 9 Pictures of Sea Otters at Home

Sea Otter Awareness Week(ラッコ啓蒙週間)です。
2014年9月20日付のNational Geographicの記事”Sneak a Peek at 9 Pictures of Sea Otters at Home”をご紹介します。

—Photo Gallery by Kathy Moran, Text by Jane J. Lee

考えるラッコ

Photograph by Tim Fitzharris, Minden Pictures
Photograph by Tim Fitzharris, Minden Pictures

ラッコは、水族館においても野生においても魅力ある動物です。上下に動いたり回ったりし、カニなどを割るために石を使い、寝ている間に流されないようにケルプに身体を包みます。しかし、この動物はその毛皮のために追い求められました。


1700年代、毛皮貿易によってラッコは乱獲され、ついには歴史的な生息域のほとんどから消えてしまいました。ラッコはかつては日本からロシア、アラスカを経てバハ・カリフォルニアまで広く生息していました。


2つのラッコの亜種がロシアのクリル諸島からアリューシャン列島を経てワシントン州までの沿岸部に生息しており、3つ目の亜種は離れてカリフォルニアに生息しています。


9月21日から27日まで行われるラッコ週間のような啓蒙キャンペーンは、人々にラッコのことや、ラッコがまだ手助けを必要としていることなどを周知してもらうために行われています。

まだここにいるよ

Photograph by Pat Hathaway, National Geographic
Photograph by Pat Hathaway, National Geographic

1900年代はじめ、カリフォルニアではラッコは絶滅したと考えられていました。

しかし、1930年代、ビッグ・サー付近で小さいラッコの群れが目にされ始めました。


サン・ルイス・オビスポ近くのモロベイを拠点にするアメリカ魚類野生生物局のラッコを専門にする生物学者マイケル・ハリス氏によると、カリフォルニア中央沿岸部で見つかったラッコは約50頭だったとのことです。


「そのラッコたちは、今いるラッコたちの先祖たちなのです」

北のいとこ

Photograph by Roy Toft, National Geographic Creative
Photograph by Roy Toft, National Geographic Creative

アラスカのコディアック島で見られるNorthern Sea Otter(北のラッコの意。アラスカラッコのこと)は、Southern Sea Otter(南のラッコの意。カリフォルニアラッコのこと)よりはうまくやっているようです、とハリス氏は述べています。アラスカラッコは比較すると個体数を増やせるだけの場所がもっとあるのも理由の一つです。


アラスカとブリティッシュコロンビアの沿岸の島や色々な場所は、カリフォルニアに比べてより多くのラッコたちを生息させることができるのです、とハリス氏は説明しています。カリフォルニア沖に住むラッコたちは沿岸の北もしくは南にしか生息地を拡大できないのです。


潜れ!潜れ!潜れ!

Photograph by David Doubilet, National Geographic Creative
Photograph by David Doubilet, National Geographic Creative

この写真のように、カリフォルニアのモントレーのケルプの森に潜っているカリフォルニアラッコたちがなかなか個体数を増加させることができないもう一つの理由は、ホホジロザメの存在だとハリス氏は述べています。


「ここ10年で、カリフォルニアラッコたちの死に最も大きな影響を与えたものとして、ホホジロザメによる噛みつき被害が挙げられます」


「ホホジロザメが果たしてラッコを食べているのかという証拠はありません。しかし、サメは小さな毛の玉を確認しようと近づくとき、試しに噛みついてみるのです。不幸なことに、そうしたちょっとした噛みつきがラッコにとっては致命傷となるのです」

おやすみなさい

Photograph by Norbert Wu, Minden Pictures
Photograph by Norbert Wu, Minden Pictures


ホホジロザメによる噛みつき被害は、カリフォルニアラッコに深刻な影響を及ぼしていると、ハリス氏は言います。

「実際その被害により、カリフォルニアラッコの個体数の成長が遅れています」


ハリス氏によると、1960年代に生物学者たちが記録を始めた時からラッコはホホジロザメによる被害を受けていました。この10年そこそこの間に、そのような事故が増えているのです。


ハリス氏によると、多くの研究者たちは噛みつき被害の増加はカリフォルニア沖におけるホホジロザメの数の増加によって引き起こされたものだと考えていると述べています。このサメは1990年代からカリフォルニアで保護されており、餌となるアシカやアザラシも急増しています。「その全てが、ホホジロザメの個体数の増加の原因となっているのです」とハリス氏は述べています。(参考記事:「ホホジロザメ、米近海で個体数回復」)

ディナー

Photograph by Norbert Wu, Minden Pictures
Photograph by Norbert Wu, Minden Pictures

ラッコは、カリフォルニア沖のケルプの森の生態系において重要な役割を担っています。カニなどの餌を獲り(写真参照)ウニの数をコントロールしています。


ラッコがいなければ、ウニの数が大増殖し、ケルプの森を食べつくしてしまいます。(参考記事:「ウニを食べるラッコ、CO2削減に貢献」)

カンカン・タイム

Photograph by Jeffrey O. Foott, National Geographic Creative
Photograph by Jeffrey O. Foott, National Geographic Creative

ラッコが片手にウニ、もう片手に薄い色の石を抱えて水面へと泳いでいくところです。石はただ持ってきたものではありません。


ラッコは硬い殻を被った餌を開けるために石を使います。海底から石を拾い、水面に上がってあお向けになり、胸の上に石を載せます。そして、殻のついた獲物を中身が出るまで石にたたきつけるのです。


ママ

Photograph by Frans Lanting, National Geographic Creative
Photograph by Frans Lanting, National Geographic Creative

この写真のアラスカ州クック湾の母親ラッコは、素晴らしい親です。実際、最近の研究によると、母親ラッコたちは赤ちゃんに餌を与えるためにかなりのエネルギーを費やし、自らの命を危険にさらしているということがわかりました。


子どもがいるメスのラッコは、空腹を満たすために体重の133パーセントものエネルギーを費やします。この需要を満たすため、母親たちは1日に14時間も餌を探しています。(参考記事:ラッコの子育ては“命懸け”)

あくび

Photograph by Jeffrey Foott, National Geographic
Photograph by Jeffrey Foott, National Geographic

毛づくろいは大変な仕事です。ラッコには体温を守る脂肪層がないため、冷たい水の中で生きていくのに毛皮に頼らざるを得ません。


外側の毛はガードヘアで、中の毛は密度の高い、フワフワの毛で空気を貯め込みます。その2つの毛の層が組み合わさり体温を保持し、水は入ってこないようになっています。


油やその他の汚染により、ラッコの毛皮の保温機能は破壊され、低体温症になって死んでしまう可能性があります。

元記事:
National Geographic
"Sneak a Peek at 9 Pictures of Sea Otters at Home"

Photo Gallery by Kathy Moran, Text by Jane J. Lee
September 19, 2014