【記事】ペレット銃でラッコが狙撃された事件、国が捜査 | Sea otter shot with pellet gun prompts federal probe

 本日は12月9日付のSanta Cruz Sentinelから、"Sea otter shot with pellet gun prompts federal probe"をお届けします。カリフォルニアラッコが多いモス・ランディングで男が船からラッコをBB銃で撃ったという事件が起こり、国が事実関係の調査に乗り出しました。

モス・ランディング・ハーバーのドックで昼寝をしているラッコ (photo:らっこちゃんねる | Sea Otter Channel)
モス・ランディング・ハーバーのドックで昼寝をしているラッコ (photo:らっこちゃんねる | Sea Otter Channel)

モス・ランディングのドック(船着き場)で雌のラッコを撃ったとされる事件について、国により調査が行われることになりました。

 

12月4日、モス・ランディング・ハーバーで、2頭の子どもの母親であるラッコがボートの持ち主に撃たれたようです。女性が、ラッコをペレット銃で撃っている男性がいると通報しましたが、容疑者である男性は水の中に向かって撃っていたのであってラッコは撃っていないと主張しています。港湾長のトミー・ラツェッカ氏によると、逮捕はなくBB銃が没収されただけだったようです。

 

撃たれた後、その雌のラッコはドック(船着き場)に戻って2頭の赤ちゃんラッコたちの世話をしようとしましたが、その後、弱っていた方の赤ちゃんを見捨ててしまいました。その赤ちゃんの体重は僅か2パウンド(900g)ほどしかありませんでした。

 

12月5日、モントレーベイ水族館のラッコプログラムのスタッフがその捨てられた赤ちゃんに会い、施設へ連れて帰ったと水族館の広報、アンジェラ・ハインス氏は述べています。モントレーベイ水族館や他の園館で代理母の都合がつかず、その赤ちゃんラッコは野生に戻って生きていけるようにするための基準に見合いませんでした。

 

「非常に残酷ですが、素早い決断でした。私たちは獣医と、タイミング、資源、代理母ラッコの都合なども考慮し私たちにできる選択肢について話し合いました。その結果、そのラッコは自然に帰ってもうまくいかないだろうという結論に至りました」とラッコプログラムのメンバーであるアンディ・ジョンソン氏は語りました。

ハインス氏は、その赤ちゃんラッコは水族館の「最後の選択肢」として、安楽死させられたと述べました。


「本当に胸が張り裂ける思いです。だって、私たちはラッコを救うためにここにいるのですから。このようなことになるのは、ただただ胃が痛みます」ハインス氏はそう言いました。


母親である雌ラッコが撃たれたという確証を受けていないため、モントレーベイ水族館は母親のラッコの治療もしくは保護についてはまだ行っていないとハインス氏は述べています。しかし、ラッコを狙撃したこと自体は国の当局により確認されており、今は国による調査段階へと入っています。


アメリカ魚類野生生物局が調査を行っていますが、狙撃があったということ以外の調査についてはノーコメントです。


アメリカ魚類野生生物局の特別代理人であるダニエル・クラム氏は、ラッコは国によって保護されており、この犯罪は最高懲役1年及び1頭当たり罰金10万ドル(約1,200万円)の軽罪に分類されると述べています。調査の最終段階で、逮捕状が出される場合もあります。また、2万5000ドル(約300万円)の民事賠償金が請求される可能性もあります。


ラツェッカ氏は、容疑者はボートの持ち主であるということは断言しましたが、それ以上の容疑者の個人情報については一切明かそうとしませんでした。


「私の立場で言えることは、もし犯罪が起こったというなら、誰かに責任があるということですが、実際にその犯罪が起こったかどうかもわかりません。私が目撃したわけではないのですから」とラツェッカ氏は火曜日、述べました。


モス・ランディング・ハーバーのゼネラルマネジャー、リンダ・マッキンタイアー氏は、「個人の所有物だし自分の船の中で何をしようがそれは自由だから」船の持ち主は銃を所有することができると言っています。


「これは非常に稀な例だと思います。つまり、アシカたちは厄介者で、ある方法、たとえばスタンガンのようなものを使ってアシカたちが船に乗らないように脅して阻止することが法で許されていますが、ラッコに対しては使えません」とマッキンタイアー氏は述べました。

らっこちゃんねるより

実はこの事件の翌日、モス・ランディング・ハーバーのドックへ行っていたので、非常に驚きました。
BB銃とはいえ、当たり所が悪ければ怪我をしますし、何より子育て中で非常にストレスを抱えて弱っている母親ラッコを狙うというのが非常に悪質です。


この記事からだけでは分かりませんが、この母親は通常1度に1頭しか出産しないラッコでは非常に珍しい、双子を産んだのかもしれません。ラッコの母親にとって子育ては非常に労力を要するもので、双子を産んでも多くの場合最終的にどちらか1頭だけを育てることになるそうです。この事件と、母親が弱った子どもを捨ててしまったことが直接関係あるかどうかはわかりません。しかし、狙撃されたストレスで、母親が子供を手放してしまうタイミングが早まってしまった可能性はじゅうぶん考えられます。


どんな動物にも言えることですが、生まれてからある一定の期間きちんと母乳をとることは、免疫システムを機能させるうえで非常に重要です。生まれてから早い段階で親と離れてしまった場合、充分に免疫システムが構築されないため、病気などにかかりやすくなります。今回モントレーベイ水族館で保護された、弱っていた方のラッコは体重が2パウンドということなので、おそらく生まれて間もないか、あるいはもともとかなり栄養状態が悪かった可能性があります。モントレー水族館が赤ちゃんラッコを保護して、最終的に安楽死という選択肢を選んだ背景には、代理母ラッコの都合もありますが、こうした事情からおそらく生きていくこと自体が難しいという判断があったのだろうと思います。


いずれにしても、この事件の真相がきちんと解明され、もしこの事件が事実なら、今後こうした人が現れないよう、警告と抑制の意味をもってきちんと報道していただきたいものです。


おそらくエルクホーン湿地帯で暮らしているこの母親ラッコともう1頭の子どものラッコが、無事に生きていけるよう祈っています。

記事元:
Santa Cruz Sentinel

Sea otter shot with pellet gun prompts federal probe

By Ana Ceballos POSTED: 12/09/14, 6:06 PM PST