【記事】エクソン・バルディーズ号原油流出事故最後の生き残りラッコ、ホーマー | Sea otter Homer humanely euthanized at Point Defiance Zoo & Aquarium

本日はエクソン・バルディーズ号原油流出事故の最後の生き残りだったラッコ、ホーマーに関する、ワシントン州タコマのポイント・デファイアンス動物園&水族館による2013年6月24日付のリリースをご紹介します。事故から救出され、余生を水族館で暮らし、推定25歳の生涯を閉じたホーマー。その生涯が少しでも幸せであったことを祈らずにはいられません。

©Point Defiance Zoo & Aquarium
©Point Defiance Zoo & Aquarium

ラッコ保護の「教師」として、ホーマーは多くのものを遺した

ポイント・デファイアンス動物園&水族館の獣医師は、今朝の診察の結果、消耗が酷く他の健康問題も深刻であることから、25歳になるアラスカラッコのホーマーを人道的措置として安楽死させました。


ホーマーは1989年に起こったエクソン・バルディーズ号原油流出事故の最後の生き残りのラッコとされていました。その名前は、ホーマーが発見された場所近くのアラスカの地名からつけられたもので、救出後まもなく水族館園に引き取られた数十頭のラッコのうちの1頭でした。


最後の数日間、ホーマーはほとんど食欲がなく、ラッコの高い代謝を維持するために1日に必要な8~9パウンド(約3.6~4kg)の海産物のおよそ4分の1しか食べませんでした。


「ホーマーはとても痩せて、体調がすぐれず、筋緊張もみられませんでした」

とポイント・デファイアンス動物園&水族館の獣医師、カレン・ウルフは語りました。


ラッコは、海での生活に必要な非常に高いエネルギーを維持するため、1日に何度も餌を食べます。今朝、ホーマーの体重はわずか39パウンド(約17.5kg)しかありませんでした。状態のよい雌のラッコは50パウンド(約22.5kg)ほどになります。


ホーマーはまた、尿中に出血が見られ、血糖値も上昇していたとウルフ氏は語っています。


本日の午後行われた検死の際、獣医師らはホーマーの病気の原因を探り、また今後行われる研究のための保存用として組織標本を採取したとウルフ氏は言いました。


「ホーマーが、アメリカの水族園館における、エクソン・バルディーズ号原油流出事故の最期の生き残りであったということは非常に記念すべきことです。ホーマーは素晴らしいラッコでした。多くの人々に、保護の大切さを伝えたのですから」とウルフ氏は語りました。


昨年の秋(注:2012年の秋)まで、北アメリカでの原油流出事故の生き残りのラッコは2頭いました。キーナイ(享年23歳)は、シカゴのシェッド水族館で安楽死させられました。高齢による健康状態の悪化によるものだと同水族館は発表していました。


ラッコの寿命は15年から25年です。ホーマーは1988年に生まれたとされていますが、その寿命を超えていたのです、とリサ・トリッグは語りました。トリッグはポイント・デファイアンス動物園&水族館のロッキーショア(ラッコがいるコーナーの名前)でホーマーの世話をし、ともに17年過ごしてきました。


「ホーマーは最高のラッコでした」とトリッグは述べています。ホーマーは日に5回の給餌の際、忠実に持ち場につき、世話をする際も協力的だったとのことです。

「とてものんびりしていました。素敵なラッコでした」


ポイント・デファイアンス動物園&水族館の副園長、ジョン・フックは獣医師たちやスタッフたちが24年の間ホーマーの世話をしてきたことを褒めています。


「みなさんは、ホーマーに対し、人道的かつ専門的なケアを施してくれました」

とスタッフに伝えました。


スタッフの生物学者たちは、高い代謝率に見合うよう日に5回の給餌を行い、更にケアを施し、ラッコたちが身体的にも精神的にも刺激を与えるエンリッチメントという「おもちゃ」を与えています。


「私たちはホーマーが北アメリカの水族園館おける、エクソン・バルディーズ号原油流出事故の最期の生き残りのラッコだったことを分かっていました」フックは流出事故後、海洋性哺乳類らを救出するため、アラスカへ行っていました。「きっとホーマーはあの事故を生き延びた地上で最後のラッコだったはずです」


アラスカのプリンス・ウィリアム湾で1,100万ガロンの油が流出した結果、何千頭ものラッコが瞬く間に消えてしまいました。そして事故後も数週間、数か月で、更に多くが死んでいきました。


ホーマーのように、酷く油に汚染されてしまったラッコはかなりの油を飲み込んでしまっていたとフックは言います。


「油を中和するため、炭の泥漿(ドロドロした液体)をラッコに飲ませました。それは非常に大変な仕事でしたが、その成果で、多くのラッコの命が救われたのです」


ホーマーがポイント・デファイアンス動物園&水族館で長生きしてくれたのは、そうした救出の努力に対する遺言だったのかもしれません、とフックは語っています。


また、ホーマーはラッコの保護や、野生動物に対する汚染の影響についての貴重な「教師」でもありました。


「ホーマーが死んでしまったことで、ポイント・デファイアンス動物園&水族館とその仲間たちは悲しみに沈んでいます」とフックは言っています。「ホーマーは、動物園やタコマの人々に非常に愛されていました。しかし、ホーマーの死はここで悲しまれるだけではなく、世界中で心に留められることでしょう」


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ポイント・デファイアンス動物園&水族館はアメリカ西北部にある唯一の、動物園と水族館が合体した施設です。教育や保護、研究、余暇活動の機会を通じ、世界の動物資源を責任をもって管理することを押し進めています。メトロパークス・タコマの1部門であるこの動物園は、動物園水族館協会(AZA)と海洋性哺乳類公園・水族館連合(AMMPA)により認可されています。