【記事】ワシントン州でラッコの死体が打ちあがる | Sea otter washes ashore in north Long Beach

 本日は2015年5月28日付のChinook Observerから、"Sea otter washes ashore in north Long Beach"をお届けいたします。ワシントン州のロングビーチでラッコの死体が発見されました。

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MATT WINTERS/MWINTERS@CHINOOKOBSERVER.COM

ラッコはおよそ100万頭が乱獲され中国に売られ希少になったが、沿岸で漸進的な回復の兆候を示している


ロングビーチ — 去る水曜(2015年5月27日)、ロングビーチへ通ずるクランベリー通りの北側で、ラッコの死体が打ちあがった。


このメスのラッコの成獣は体長約4フィート(約120㎝)、体重約40パウンド(約18kg)だった。体毛は砂まみれになっていたが、鳥などに荒らされた形跡はなかった。

 

ワシントン州魚類野生生物局はそのラッコの死亡時の状態や死因を知るため、検死を行う予定だ。


また、別のラッコの死体の目撃情報もある。パシフィック及びクラストップ郡において弱った海洋哺乳類や死んだ海洋哺乳類に対応しているシーサイド水族館へ一般市民が通報したものだが、このラッコと同一個体の可能性もあるが、確かではない。しかし、シーサイド水族館の広報の木曜日の発表によると、その水族館はラッコの取り扱いが許可されていないとのことだ。


ラッコの毛皮は1700年代終わりのコロンビア川の下流域の経済の中核をなし、環太平洋における最初の複合的国際貿易網を強化した。1792年から1911年の間、100万頭近くのラッコが北太平洋沿岸で殺された。ラッコの毛皮は北西部の先住民や白人の猟師から購入され、中国へ輸出され、茶や絹や他の高価な商品と取引された。それらの商品はまたアメリカ東海岸やヨーロッパで販売された。


2009年3月、ノースヘッド付近で生きたラッコが目撃された。その付近で1世紀ぶりの目撃だった。それ以前の最後の目撃情報は1913年6月で、ウィラパ湾沖で非常に「人馴れ」した7頭のうち3頭が毛皮目的で漁師に殺害された。


国の法律で保護されるようになって以降、ミンクと遠縁であるこれらの海洋哺乳類はいくつかの地域でゆっくりと回復を遂げてきた。オリンピック半島北西先端とプジェット湾北側付近には約1,000頭のラッコが生息している。ラッコはまたカワウソとも類縁である。カワウソは我々の住む地域には多く生息しているが、ラッコのほうが数倍身体が大きい。1913年に殺されたラッコは体調8フィート(240㎝)もあったという報告がある。

背景

コロンビア川の河口付近におけるラッコの目撃情報は稀である。ラッコの生息数は、毛皮貿易時代にウエストコーストの個体がその高価な毛皮目的で獲りつくされてしまってから今だ回復途中である。


現代になり最初にコロンビアで目撃されたのは2009年3月12日である。同じ週、ケープ・ディサポイントメント州立公園でラッコが目撃されている。


1913年6月、チヌック・オブザーバー紙はこう報道し、一つの時代の終わりを熱心に告げた。

「5年ぶりのノースビーチでのラッコの目撃は、ウィラパ湾沖でのカニ漁師によるものだった。7頭のラッコは一つの家族と思われ、非常に人馴れしていた。3頭が殺され、そのうち1頭は頭が白く体調8フィート(約240㎝)、毛皮の価値は1,200ドルであった*。毛皮の価値は100ドルから1,500ドルに及んだ。ラッコが戻ってきたということは、何年も前に漁師たちに富をもたらしたラッコ猟の再開を意味する」

*訳者注:CPI Inflation Calculatorの計算によると1913年当時の1,200ドルは現在の28,678.67ドル(約350万円)と同じ価値


そしてそれ以降、2009年になるまでここでは市民によるラッコの目撃情報はなかった。


現在、ラッコはアメリカ海洋哺乳動物保護法で厳格に保護されており、傷害やハラスメントを犯した場合高額の罰金と実刑が科される。

現代において「ラッコ」の目撃情報の多くは実際は海に出没していたカワウソだ。イタチ科はミンクからウルヴァリンまでを含み、カワウソもラッコもどちらもこのイタチ科に属している。しかしラッコとカワウソはピットブルとチワワほどの違いがある。どちらを目撃したのか、見分ける際の特徴がいくつかある。

ピットブル - Wikipedia
ピットブル - Wikipedia
チワワ-Wikipedia
チワワ-Wikipedia

ラッコの成獣は尾の部分を除いて約4フィート(約120㎝)、体重100パウンド(約45kg)ほどになる。一方カワウソは成長しても尾を除く体長は3フィート(約90cm)、体重は最高で約30パウンド(13.5kg)である。ラッコは2層の体毛を持つ、でっぷりとした動物である。体毛は濃い茶色で頭部の毛は比較的明るい黄褐色であることが多い。ラッコの4本の足はすべて水かきがついており、後ろ足はアザラシのヒレのように見える。目撃した動物が身体が濃く頭が明るい色であれば、おそらくラッコである。


ラッコが岸に来ることはめったにない。ラッコは食べるのも、寝るのも、交尾も出産も全て海上で行う。成獣は寝ている間に流されないよう、海草を体に巻き付ける。ラッコの赤ちゃんは大きなコルクのように非常に水に浮きやすく、1年強母親と一緒に過ごす。海沿いの浜であっても、その動物が陸に上がっている場合は、カワウソの可能性がある。


ラッコの餌はあらゆる動きの鈍い海産物を含む。ラッコは餌を獲るため、180フィート(54m)ほどまで潜ることができる。獲った餌は、前足で持つかもしくは脇の下にある「ポケット」に入れて水面に上がってくる。水面に出ると、ポケットに入れておいた石を取り出し、餌を石にぶつけて開ける。水面に仰向けになって寝ており、何か胸の上に持っていたらそれはラッコと思われる。


ラッコの頭蓋骨はがっしりしている。口吻、もしくは鼻腔と呼ばれる部分はゴルフボールほどの大きさがある。そこには矢状隆起という頭蓋骨のてっぺんから伸びる筋がある。カワウソの頭蓋骨にはラッコのような帯状のものがなく、矢状隆起がない。どちらも鋭い犬歯と食べ物をすり潰す大きな臼歯を持つが、ラッコのほうが顎の力が強い(そのためピットブルに例えた)。目撃した動物が大きく明るい色の顔であればラッコの可能性がある。暗い色で流線型の頭であれば、カワウソの可能性が高い。
*訳者注:写真はこちらをご覧ください ラッコの頭蓋骨(レプリカ) カワウソの頭蓋骨(本物)


ワシントン州のラッコ回復プランにはこのように記載されている。
「1911年から1969年にかけて、州内にはラッコはいなかった。1969年と70年、59頭のラッコがアラスカ州アムチトカ島*からワシントン州沿岸に再導入された。これらのラッコは個体数が少ないこと、生息域が限定されていること、また脆弱であることを理由に1981年に州の絶滅危惧種に指定された」

*訳者注:米ソ冷戦下、60年代終わりから70年代初めにかけてアリューシャン列島のアムチトカ島が地下核実験場となり、そのためそこに生息するラッコが約700頭が他に移された。


1989年から魚類野生生物局の最新の調査である2004年まで、個体数の増加率の平均は8.2パーセントである。2000年から2004年、年次個体数調査は504頭から743頭であった。5年前の時点で、ワシントン州のラッコの生息域はディストラクション島からフアン・デ・ルカ海峡のピラー岬にかけて広がっており、ディストラクション島、パーキンス岩礁、ジョンソン岬、サンド岬、アラバ岬及びダック岬に集中している。2010年には、生息数は約1,000頭と推定された。


ラッコは非常に希少なため、目撃情報は非常に重要だ。もしラッコを目撃したら、色、何をしていたか、どこにいたかなど詳しい情報をできるだけ集め、魚類野生生物局(電話 360-753-9545 )へ目撃情報を提供をしてほしい。


背景情報の提供: Julie Tennis

Chinook Observer

Sea otter washes ashore in north Long Beach
May 28, 2015