【記事】ワシントン州で3頭目のラッコが打ちあがる | Third sea otter washes up on Long Beach Peninsula

 本日は2015年6月24日付のThe Daily Astnianから、"Third sea otter washes up on Long Beach Peninsula"をお届けします。ワシントン州で見つかった3頭目のラッコの死体。アメリカ西海岸を襲う毒性藻類の大発生と関係があるのでしょうか。

Google マップは現在の Cookie 設定では表示されません。「コンテンツを見る」を選択し、Google マップの Cookie 設定に同意すると閲覧できます。詳細は Google マップの[プライバシーポリシー]をご確認ください。Cookie の利用は、[Cookie 設定]からいつでも変更できます。

ワシントン州ロングビーチ半島で、3頭目のラッコの死体が打ち上がった。生物学者たちは西海岸沖の大規模な毒性藻類の大発生が原因ではないとみているが、そこに存在する海洋性毒素であるドーモイ酸はこの地域の鰭脚類の個体群に害を及ぼしている。


ワシントン州シービュー:ロングビーチ半島で3頭目になるラッコの死体が打ちあがった。


6月16日にシービュー付近で発見されたこのラッコはかなり膨張しており、検査のための標本を得ることができなかったため、アメリカ魚類野生生物局の生物学者は厳密な死因については解明できていないが、過去2か月ワシントン州の漁業関係者の一部を閉鎖に追い込んだ海洋性毒素、ドーモイ酸が原因ではないだろうと述べている。


この半島で死亡した他の海洋性哺乳類については同様のことはいえない。


5月20日、ワシントン州魚類野生生物局の職員がカリフォルニアアシカがロングビーチ付近の海岸で発作を起こしているのを動画で記録している。


そのアシカは安楽死させられ、生体標本が検査に回された。この標本が戻り、高濃度のドーモイ酸がその異常行動を引き起こしたことが明らかになった。このドーモイ酸の濃度はワシントン州の海岸のアシカでは最高濃度を記録していた。


3種の有害藻類はオレゴン州とワシントン州における馬刀貝漁やワシントン州のダンジネスクラブ漁を早期に閉鎖に追い込んだ。先週、NOAA(アメリカ海洋大気局)はカリフォルニア州モントレー湾からアラスカ州ホーマーにかけての西海岸に広がるここ10年で最大規模の有害藻類の大発生を調査するため、研究者を送り込んだことを発表した。


そうした藻類の大発生、ドーモイ酸によってラッコに影響を及ぼすことはほとんどないが、科学文献にはこうした藻類の発生やドーモイ酸は特にアシカを壊滅させると州政府と国の生物学者たちは発言している。藻類の大発生がアシカや他の海洋哺乳類や鳥類に影響を及ぼすのではないかと憂慮している。

データの収集

「今は、「様子を見る」というシナリオです」とオレゴンの海岸をベースに活動するニューポートのハットフィールド海洋科学センターのコーディネーター、ジム・ライスは言う。


「幸運にも、まだここではドーモイ酸による大きな影響は確認されていません」今のところは、カリフォルニアアシカははるか南の繁殖地へと移動しているためそうなのではないかと説明する。しかし、この藻類の大発生がどの程度長引くかにより、アシカが晩夏もしくは初秋に戻ってきた際直面する可能性がある。


先月ロングビーチ半島で死んだアシカは驚くべきものだった。アシカからワシントン州でかつてないほど高い値のドーモイ酸が検出されたからだ。それでも、ドーモイ酸の大発生がより顕著なカリフォルニア州海岸沖のアシカから検出された値に比べれば低い。


「歴史的に(カリフォルニア中央部は)ドーモイ酸による死亡の中心となっています。特にカリフォルニアアシカの間ではそうです」とライスは言う。その毒素は脳に永久的なダメージを与え、記憶をつかさどる脳の部分を破壊する。そして動物の移動能力や海や川における方向感覚に影響を与え、また発作を起こしてしまう。


「私たちにとってやや異常なことでした」ポートランド州立大学の生物学教授デボラ・ダフフィールドは言う。ダフフィールドはリサーチアシスタントのダリン・ダレッサンドロと共にティラムックからロングビーチ半島にかけての多くの海洋性哺乳類の遭難体や死体を調査している。


ダフフィールドは、明らかにドーモイ酸により死んだと思われる、死んで間もないアシカの死体を見つけることは非常にまれなことだと言う。彼らが目にする鰭脚類のほとんどは銃で撃たれたものである。腐敗がかなり進んでしまったため、死因を特定できないものも多い。これらの動物から採取した標本は保存されているが、海洋性哺乳類を扱う団体にとって更なる検査費用に見合うことはほとんどない。

分かっていること

研究者や生物学者たちが今確実に分かっていることは、ドーモイ酸がそこに存在するということ、そしてドーモイ酸を産出する植物プランクトンがそこに存在し、小型生物がそれを食べる。その小型生物はより大きな動物に食べられ、大型の動物の中で異常行動を起こすものがあるということだ。


ワシントン州魚類野生生物局の海洋哺乳類研究生物学者であるダイアナ・ランバンは死んだ動物においてドーモイ酸の検査をするのは当局のリストの中では優先順位は低いと言う。「ワシントン州ではまだ高いレベルで検出されていないから」だ。他にも、同様の症状を示す病気があるからだ。


「もしこうしたことが続くと、動物たちがそうした症状を見せ始めたらより多くのスクリーニングを行わなければならないでしょう」とランバンは言う。「海ではドーモイ酸の値が高いということを知っていますから」


カリフォルニアアシカはドーモイ酸に起因する死の「ポスターチャイルド」(訳者注:難病などの啓蒙や寄付金集めのため宣材写真を提供する子ども)だ。しかし、海鳥や他のアザラシやアシカ類も犠牲者予備軍だ。ランバンや他の生物学者たちは高濃度の毒素に影響を受けてきたカリフォルニアの動物たちを注視している。

The Daily Astnian
Third sea otter washes up on Long Beach Peninsula

By Katie Wilson, June 24, 2015 10:32AM