【記事】ハイダバーグでラッコの縫製講座開催 | Sea otter sewing class offered in Hydaburg

 本日は2015年9月4日付のKRBDから"Sea otter sewing class offered in Hydaburg"をお届けします。アラスカの先住民たちは長くラッコやアザラシなどの海獣を獲って暮らしてきました。ラッコ猟や先住民間での毛皮の売買、またラッコをつかった工芸品の販売はは現在でも例外的に先住民に認められています。伝統を守るためラッコの毛皮を使った工芸教室の様子です。

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ラッコの毛皮を使った縫製教室で、ラッコの毛皮を採寸し断裁する生徒たち
ラッコの毛皮を使った縫製教室で、ラッコの毛皮を採寸し断裁する生徒たち

ラッコは哺乳類で最も密な体毛を持つため、価値がある。しかし、その毛皮を市場に出すには厳しい規則がある。アラスカ沿岸部に暮らす先住民たちはラッコの毛皮を売る権利を持つが、先住民どうしに限られている。先住民でない者は毛皮を買うことはできないが、毛皮を使った工芸品を買うことはできる。先日、雨の降る晩、ラッコの毛皮を使った工芸品の市場進出の可能性を広げるためにラッコの毛皮をつかった縫製講座’がハイダバーグで開かれ、地元の先住民たちが集まった。


テーブルの上にこげ茶色のラッコの毛皮が何枚か広げられている。1平方インチ当たり10,000本の毛。(訳者注:1インチ当たり100万本が正しいです)ラッコの毛皮は1枚250ドルの価値があるが、毛皮はそれぞれ小さいクッションに作り変えられると1つ300ドルになる。生徒のアナ・フリスビーは他の生徒が見ている中、ラッコの毛皮を広げ、金属製の定規とデザインナイフをあてた。


「アン、こわがっちゃだめ。最後まで切れていないようね。ほんの少しけど。力をいれて押さなきゃ。しっかり押し付けないとだめよ、アン。しっかり押し付けて」


生徒たちはお互いに励まし合う。その日、講師は私用で休みだったからだ。10名あまりの生徒の半分にとって、ラッコの毛皮を扱うのは初めてだった。フリスビーが誘ったステーシー・スカンもその一人だ。「初めてこの教室に参加した時は、とても緊張しました。どうしよう!という感じでしたね。何もわからないので。長い間、裁縫なんてやったことなかったですし」

ステーシー・スカンとアンナ・フリスビーが毛糸のヘッドバンドにラッコの毛皮を縫い付けている。ハイダバーグの職人協同組合へ寄付する。
ステーシー・スカンとアンナ・フリスビーが毛糸のヘッドバンドにラッコの毛皮を縫い付けている。ハイダバーグの職人協同組合へ寄付する。

しかし、3日間の講座の2日目、スカンは部族のコミュニティセンターのソファに腰かけ、リラックスして微笑みながら縫物をしていた。


この講座はいくつかの非営利団体が協力して開催している。アラスカ南東部健康コンソーシアムの伝統食品プログラムが毛皮を提供してくれた。ハイダバーグ・コーポラティブ・アソシエーションが会場を提供し、Xaadas Kil Kuyaas(訳者注:発音不明。非営利団体の一つ)がそれらを統合し、このイベントを開催した。


「家内工業です。まさにそうですね。自分で稼ぐことができるようにするためのものです」


彼女は彫刻師や職工を挙げ、ハイダバーグの住民はみな職人だと言う。彼女も職人として経済活動をしたいのだ。ラングにとって、経済活動というのはお金を稼ぐこと以上の意味がある。


「アラスカには先住民の村が200以上ありますが、仕事がないため人々は村を離れ、文化や言語を失っていきます。何もかも失っても、楽になりたいのです」


講座の最初の晩、生徒たちは新しくできた職人たちの協同組合に寄付する毛糸の帽子とヘッドバンドにラッコの毛皮の縁取りを付けた。2日目は好きな作品を製作した。


「何を作るか決めた?」「まだ。帽子にしようかマフラーにしようかまだ決まってない」


裁断し縫製すると、毛皮は本物の先住民の工芸品となり、先住民でない人々に売ることができる。アメリカ漁業野生生物局によると本物の先住民の工芸品は明らかにもとの毛皮から手を加えられ、もとの自然な状態に簡単に戻せないようにしなければならない。基本的に強力な接着剤はだめだが、生徒たちが縫うのに難儀しているとそのような冗談も出る。


「でも、このパーツはどう?ここまでまっすぐ縫ってきただけ。てっぺんの部分は切りとるわ」「でしょう?このパーツをどうやって繋げればいいのかわからない」


販売可能な製品を作る以外にも、この講座はハイダ語を学ぶ機会にもなっていた。


「はい、みなさんはハイダ語を学ばなければなりません。準備はいい?Hi Qua、Hi Quaは準備はいい?という意味です」笑いがおこった。

ハイダバーグコミュニティセンター。ラッコの毛皮の縫製講座のため照明が灯されている。
ハイダバーグコミュニティセンター。ラッコの毛皮の縫製講座のため照明が灯されている。

交流の場でもある。


「ありのままの姿です。作業中に話さなければ、話すまで小言を言われます」


スカンは最近アンカレジからプリンス・オブ・ウエールズ島の南端にある小さな村へ越してきた。彼女は最初ペースが大きく違うため心配していたが、今のところ忙しくしているのに問題はない。


「ここの人たちは本当にすることがたくさんあります。本当です。本当に心配でした。思うに、こうした小さいことさえ素晴らしいんです。このコミュニティを存続させていくための接着剤のようなものだと思います」


来月、別の縫製講座が開催される。ラングは別のパドル製作や杉の彫刻、鹿肉の調理などの講座のために道具と講師を集めている。


ラングは、スギの帽子とラッコの毛皮のバッグがあれば、ハイダバーグは文化観光産業を作り出すというゴールに近づくことができるだろうと言う。

KRBD

Sea otter sewing class offered in Hydaburg

by Ruth Eddy September, 4, 2015 11:55 AM