【記事】らっこちゃんねるが選ぶ2016年ラッコ10大ニュース | The 10 Best sea otter news of 2016

らっこちゃんねるが独断と偏見で選んだ、2016年ラッコ10大ニュース!

ラッコの数が増えているというニュースはうれしいですが、個人的にはお気に入りのラッコだったミスター・エンチラーダ(のっぺらっこ)が事故で死んでしまったことが非常にショックでした。 

また、今年は海が荒れて多くの赤ちゃんラッコが座礁し保護され、水族館へ受け入れられたことも印象的でした。

1位:モスランディングのカリスマラッコ、道路を横断中にはねられ天国へ

7月3日の晩、モスランディングロードを横断中だったミスター・エンチラーダが車にはねられ死んでいるのが発見されました。ミスター・エンチラーダは南側のハーバーの道沿いでいつも休んでおり、地元の人々や観光客らに愛されていました。このラッコはハーバーと道を隔ててある湿地帯を土管を通じて行き来しエサを食べていましたが、今年初め土管に防潮扉(潮の満ち引きにとりふたが開いたり閉じたりする)が設置されたため、土管を通れないときは道路を横断して行き来するようになり、地元の人々や保護活動家らが対策を協議していたところでした。
その後、今後同じような悲劇がおきないよう、モントレー郡や保護団体などの協力でラッコ横断注意の標識やラッコ用の横断歩道を兼ねたスピードハンプが設置されました。

2位:カリフォルニアラッコの個体数指数、初めてしきい値を超える

2016年春に行われたカリフォルニアラッコの個体数調査の結果が9月のラッコ啓蒙週間に3,272頭と発表されました。カリフォルニアラッコは絶滅に瀕する種の保存に関する法律で絶滅危惧種に指定されており、このリストから外れるためには、個体数の3年平均値が3年連続で3,090を超える必要がある。今年の個体数指数は調査開始以来初めて、このしきい値となる3,090頭を超えた。
個体数増加の要因は生息域中央部のウニの個体数増加と相関関係があると考えられているが、一方で生息域北端および南端ではホホジロザメによるかみつきが増え、個体数の減少がみられており、生息域そのものを拡大にはまだまだ困難を抱えていることが分かっている。

3位:モントレーベイ水族館でまた野生のラッコが出産

©Monterey Bay Aquarium
©Monterey Bay Aquarium

3月5日、モントレーベイ水族館のグレート・タイド・プールで野生のラッコが出産しました。昨年12月にもラッコが出産していますが、今回は水族館がPeriscopeを通じて出産の様子をライブ中継しました。雨の中でしたが、大勢の来場者が出産を見守りました。
赤ちゃんが生まれる瞬間は、長くラッコを研究している研究者にもめったにみられることではないとのことです。野生のラッコたちから水族館への、ラッコの保護活動に対する何よりの贈り物だったのではないでしょうか。

4位:アラスカで保護された5頭のラッコ、フランスへ

© Océanopolis
© Océanopolis

アラスカシーライフセンターで保護されていたラッコたちが、フランスのブレストにあるオセアノポリス水族館へ移りました。
6月にオス3頭が専用機でフランスへ輸送されましたが、うち2頭は間もなく死んでしまいました。
12月初め、シーライフセンターからマチャクとタンギクの2頭のラッコがオセアノポリス水族館へ受け入れられることになり、6月に来たプキクと合わせて3頭になりました。すでにこれらのラッコはすでに一般公開されており、オセアノポリス水族館がフランスで唯一ラッコを見ることができる水族館になりました。

 

5位:モロ湾で迷子の赤ちゃんラッコが母親と再会

モントレー湾からさらに160kmほど南にあるモロ湾はラッコが比較的多いところです。保護活動家は、親とはぐれた赤ちゃんラッコを保護するとまず母親が近くにいないか探し、子どもの声に反応するメスがいればそのラッコに戻します。このように母親と再会できるケースはあまりありません。この赤ちゃんは非常に幸運だったようです。その後、無事に育ってくれたらいいですね。

6位:バンクーバー水族館、水槽を増設し3頭のアラスカラッコを引き受け

Photo:Vancouver Aquarium
Photo:Vancouver Aquarium

ことし8月、ワシントン州オリンピック国立公園でラッコの赤ちゃんが保護され、シアトル水族館が保護・ケアを行いました。リアルトと名づけられたこのラッコはシアトル水族館では長期的なケアができないため、国境を越えカナダのバンクーバー水族館に永住することになりました。バンクーバー水族館はその後11月にもアラスカシーライフセンターから2頭のラッコを受け入れました。このために通常のラッコ水槽とは別に、もう一つラッコ水槽を用意し献身的なケアを施しています。

7位:エリー(719号)、シェッド水族館へ

photo:Shedd Aquarium
photo:Shedd Aquarium

今年初め、カーメルビーチで1頭のラッコの赤ちゃんが保護されました。昨年から今年にかけての冬は、嵐が続き海が大荒れだったため、ラッコの赤ちゃんの座礁が相次ぎました。
このラッコ719号はモントレーベイ水族館で代理母の都合がつかなかったことから、シェッド水族館でケアを受けることになりました。名前は公募の結果、エリーと決まりました。年が近いせいか、2年前に同じくモントレーベイ水族館からやってきたルナと一番の仲良しだそうです。

8位:サンタクルーズでラッコ3頭が銃撃により死亡

今年8月、カリフォルニア州サンタクルーズ付近で回収されたラッコの死体の検死をおこなった際、内部に銃弾が発見されました。同様に、銃撃により死んだと思われるラッコが合計3頭見つかっています。当局および保護団体が懸賞金を出し、犯人逮捕につながる有力な情報を求めていますが、今のところまだ犯人逮捕には至っていません。ラッコはアメリカの国と州の法律で保護された動物であり、殺すことは懲役刑および罰金刑が科されます。

9位:モントレーベイ水族館で保護されたラッコたちが湿地帯の生態系回復を推進

Photo ©Elkhorn Slough National Estuarine Research Reserve
Photo ©Elkhorn Slough National Estuarine Research Reserve

モントレーベイ水族館では、保護し代理母に育ててもらったラッコをエルクホーン湿地帯へ放しています。守られた場所で仲間が多く、比較的エサも豊富だからです。調査によると、現在エルクホーン湿地帯で暮らすラッコの6割が、モントレーベイ水族館のラッコ保護プログラム出身のラッコの血を引いていることがわかりました。
ただラッコを保護するだけではなく、ラッコの個体数回復につながって初めて成功したと言える、とコーディネーターの方は話しています。エルクホーン湿地帯ではラッコの数の回復とともに湿地帯の生態系も大きく改善されており、今後、他の湿地帯へラッコが定着することで同様の環境改善が期待されます。

10位:日本近海でラッコが増加

ロシアの調査によると、小クリル諸島およびコマンドルスキー諸島でラッコの個体数の増加がみられます。
北海道沿岸にやってくるラッコの数も増えるかもしれません。
日本でも、少しでも早く野生のラッコの研究や保護活動がより盛んになるよう、願ってやみません。

次点:ワシントン州で巨大なラッコの群れ

ワシントン州では60年代末から70年代にかけてアラスカから移植されて以来、ラッコの個体数は順調に回復しています。

今年、ワシントン州沖で687頭からなる、巨大なラッコの群れ(ラフト)が観察されました。このラフトは海岸からも見えたそうです。