【記事】グレーシーの思い出 | Remembering Gracie

本日は、2017年1月24日付のGeorgia Aquarium Newsroomから、"Remembering Gracie"をお届けします。具体的にどのような状態になったのかは分かりませんが、開館以来ともに過ごしてきた仲間を安楽死させなければならないという決断をすることは、想像を絶する辛さだろうと思います。
グレーシーのご冥福をお祈りします。

"完璧な子"


ジョージア水族館ファミリーは、カリフォルニアラッコのグレーシーの死を謹んでご報告いたします。20歳の誕生日まで1週間足らずだったグレーシーは、ジョージア水族館で最高齢のラッコであり、人間のケア下にあるカリフォルニアラッコの中でも最高齢のラッコの1頭でした。このところ、高齢のためグレーシーの健康状態は急速に悪化していました。グレーシーを心から愛し、十年以上にわたりケアをしてきた人々に囲まれ、安楽死という難しい決断が下されました。

この数か月間、とくにホリデーシーズンの間、動物ケアスタッフはグレーシーのそばで必要なケアを与えていました。サンクスギビングやクリスマス休暇の間、当直のトレーナーや獣医スタッフの多くがジョージア水族館の他の動物たちとともにグレーシーに引き続きケアを与えてきました。

 

2005年の開館に先立って、グレーシーは別のオスのラッコ、オズとともにジョージア水族館へやってきました。グレーシーは来場者やスタッフ、ボランティアとともに10年以上思い出をともに作り、みんなのお気に入りでした。グレーシーとやり取りをした人全ての注意を引き付けることが得意でした。水槽で楽しげにスピンしたり、ハマグリやムラサキガイを食べたり(グレーシーはラッコの典型的な食べ物を選んでいました)する姿は、多くの人々に慕われました。ジョン・スタインベックの小説「トーティーヤ・フラット」の登場人物、グレーシー・モンテスから名前をもらいましたが、グレーシーは「完璧な子」というニックネームに集約されるでしょう。

 

「私たちは、このジョージア水族館の開館当時からグレーシーを受け入れるという特別な権利を得ました。グレーシーが長生きすることができたのもグレーシーを愛する人々により、生涯にわたり素晴らしケアを受けることができた証といえます」と動物オペレーション・トレーニングの上席ディレクター、デニス・クリステンは語りました。「グレーシーと過ごした10年は、私たち動物ケアスタッフや獣医スタッフに高度なモニタリングを行う技術や、グレーシーやカリフォルニアラッコ、その他の小型海洋哺乳類関する生体情報について学ぶ能力を与えてくれました」クリステンは、ジョージア水族館での11年の勤務の間、グレーシーのケアをするチームを率いてきました。この11年、グレーシーのケアをするスタッフはほとんど変わっていません。

 

グレーシーは生後2週間の時に、カリフォルニア州のカユコスで親とはぐれたところを発見されました。野生ではより危険が多いため、カリフォルニアラッコの子どもたちによくみられる運命でした。グレーシーはモントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムでリハビリを受け、8か月になった時カリフォルニア州のモロ湾にリリースされました。自分でエサをとることができなかったため、グレーシーは野生に帰って2日後、脱水症状で低体重であることが分かりました。この時点で、アメリカ魚類野生生物局はグレーシーを野生に返すことができない個体であると判定し、グレーシーの最終的な受け入れ先を探すことになりました。

グレーシーは1997年に保護されたのち、認可を受けたいくつかの動物園で素晴らしいケアを受けてきました。グレーシーが生涯すべての段階で受けてきたケアや海洋哺乳類の専門技術により、グレーシーは長生きすることができました。私たちはグレーシーとともに過ごした時間をありがたく思っています。ジョージア水族館の動物ケアスタッフは、最後の数か月間、グレーシーの可動性や健康状態が老年期になってきたため、特別なケアを施してきました(【記事】ジョージア水族館の高齢ラッコに特別なケア | Gracie the Sea Otter Receiving Specialized Care)。こうしたケアは舞台裏の動物エリアで行われましたが、グレーシーに最もよく合うように作られており、スタッフがグレーシーのグルーミングや食生活の変化、より多く休息を与えるなどグレーシーを助けてきました。

 

愛するものを失うということは、決してたやすく乗り越えられることではありません。グレーシーは、その生き方や、保護の物語、そして唯一の存在であることにより、多くの人々の心を動かしてきました。そして、多くの人々に、ラッコ保護やラッコが住む環境を大切にすることを訴えてきました。

 

私たちは、心から、「完璧な子」を失ったことを寂しく思います。

 

ラッコは現在IUCNのレッドリストで「絶滅危惧種」に指定されており、漁網への絡まり、原油流出、サメの噛みつきなどの脅威に直面しています。ラッコの寿命は、飼育下でメスが15年から20年、オスが10年から15年と推定されています。野生のラッコでは約10年から12年です。カリフォルニアラッコについて、またこの素晴らしい動物をどう守っていくかについては、ジョージア水族館の動物ガイドをご覧ください。

Georgia Aquarium Newsroom
Remembering Gracie
JANUARY 24, 2017