【記事】ミズダコを食べるアラスカラッコ | Kraken snackin': Alaska's sea otters can take down giant Pacific octopuses

本日は2017年7月3日付のEarth Touch News Networkから、"Kraken snackin': Alaska's sea otters can take down giant Pacific octopuses"をお届けします。らっこちゃんねるも一度、モントレー湾でタコを食べるラッコを見たことがありますが、食べていたのはオスのラッコでした。小さな貝をいくつも取るより、大きなタコを一つとるほうが絶対に費用対効果がいいはずなんですよね。母親は潜るたびに子どもを放置しなければならないので、子どもの安全という点でも一度で大きなエサをとることが望ましいのだと思います。親子がタコを好むのはそうした理由があるからではないでしょうか。

ミズダコは最大15フィート(約4.5m)、50パウンド(約22.5kg)にも及ぶ。2000個の吸盤、肉付きのよい脚は非常に強く、皮膚につくとあざができ、成人男性でもタコを動かすのは難しい。しかし、アラスカの最も可愛らしい住民は、この強い頭足類をやっつけるのはわけないようだ。

ラッコがタコを襲うのはあまり見られないが、これを撮影したのはジュノーの住民でレインボーツアーのチャーター船で船員兼ナチュラリストとして働くエマ・ラックだ。ラックとその仲間らがカチェマック湾に出ていた時、ラッコが印象的なエサを抱えて水面に上がってきた。

 

そのラッコのそばに子どもが顔を出し、吸盤のついた獲物を分けてもらう準備が整った時、その遭遇はさらにエキサイティングなものになった。

 

「ラッコは船の周りに5分ほどいたと思います」とラックは思い出して言う。「水面が揺れていたので、ラッコは常に泳ぎながら向きを変えていました。それから、カモメが何羽かラッコの周りを付きまとってタコをかすめ取ろうとしていました。タコに対してかなり独占欲が強くなっていたようです」

 

貝や他の甲殻類と比較して、タコの身はタンパク質が豊富だ。しかし、そうした栄養価に対し、タコをエサに選ぶのは危険だ。オーストラリアではずっと小さいタコを採ろうとしたイルカが死んだ。同様なことがアザラシやアシカにも言える。

 

このラッコが八本脚の昼食を捕獲したのか、単に死んだタコを拾ったのかは明らかでないが、このエリアでラッコがタコを食べているのが目撃されたのは初めてのことではない。

興味深いのは、大きなタコを食べていたラッコの多くが子どもを連れたメスの成獣だったということだ。ラッコの子どもは約6か月乳を飲むが、その後も母親と一緒にいて自分で潜ってエサをとる方法を学ぶ。余分なカロリーを必要とする母子であっただけに、このタコのような恐ろしい獲物を取ったのかもしれない。

 

親子でなくとも、ラッコは毎日体重の25%のエサを食べなければならない。実際、ラッコは他の海洋哺乳類と比べてカロリーの燃焼速度が3倍近くになる。皮下脂肪がないため、ラッコは海で体温を維持するため高い大佐率に依存しているのだ。

 

ラッコはまた、グルーミングに多くのエネルギーを費やす。密度の高い下毛に空気を吹き込むことで、ラッコは皮膚に水が来ないようにしている(これはダイバーのドライスーツと似た働きをする)。しかし、毛皮が清潔で汚れていない時のみ、空気を含む働きをする。

 

燃料を補給するため、成獣は1年に約2トンのエサを食べる。(動物園でラッコ1頭を飼育するのに年間2万ドル(約220万円)かかるが、そのためラッコは体の大きさの割には、飼育するのに最も費用が掛かる動物の一つとなっている)

 

このように食欲が旺盛なため、ラッコを地元の生態系を殲滅してしまう「海ネズミ」とみるコミュニティも多い。しかし、このような悪評はラッコには全くふさわしくない。

 

種としてラッコは50種類以上のエサを食べるが、個々には通常2~3種類のエサに限られている。食べるエサの種類は母親から子どもに受け継がれるが、そのように資源を分けることで近くに生息する他のラッコたちがお互いに競争しあわないようにコントロールするのに役立っている。

 

アラスカのラッコのエサの50%は魚であるのに対し、カチェマック湾のラッコは頭足類(イカやタコなど)の専門家になりつつある。カリフォルニアのモントレー湾のラッコも時々ミズダコを食べることで知られているが、そうした行動は北部の海のほうがより一般的なようだ。

 

 

「通常、夏の間にタコを食べるラッコを見るのは1度か2度です」とラックは言う。「あまり頻繁にあるというわけではありませんが、実際に見たら非常に面白いです。タコはとても大きく、ラッコより大きいこともしばしばです。ラッコがどのようにタコを捕まえるのか見てみたいですね」