【記事】オットーの死 | SADLY, OTTO HAS DIED

本日は2018年1月12日付のアラスカシーライフセンターのブログ、60° North Scienceから"SADLY, OTTO HAS DIED"をお届けします。

残念ながらオットーは死んでしまいましたが、オットーの死から学んだことがラッコの保全に寄与してくれることを願います。

カリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターでのリハビリテーションの間、水槽で休む8歳のカリフォルニアラッコ、オットー。このオスのラッコはカリフォルニア州モロベイにある海洋哺乳類センターサンルイスオビスポオペレーションの訓練を受けた対応スタッフににより保護された。Photo Credit Dana Angus © The Marine Mammal Center.
カリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターでのリハビリテーションの間、水槽で休む8歳のカリフォルニアラッコ、オットー。このオスのラッコはカリフォルニア州モロベイにある海洋哺乳類センターサンルイスオビスポオペレーションの訓練を受けた対応スタッフににより保護された。Photo Credit Dana Angus © The Marine Mammal Center.

今日の投稿は最近起きた悲しいことについてですが、それでも非常に重要なのでシェアしなければなりません。以前、投稿でご紹介した(訳者注:【記事】カリフォルニアラッコ保全の新しいマイルストーン | New milestones in southern sea otter conservationにて翻訳済み)カリフォルニアラッコのオットーが12月19日に死にました。その死体は、カリフォルニア州モロベイに浮かんでいたところを回収されました。

 

以前報告したように、オットーはカリフォルニア州サウサリートの海洋哺乳類センターへ運び込まれた2頭のカリフォルニアラッコのうちの1頭でした。2頭はドウモイ酸中毒(人間においては貝中毒と言われています)にかかっており、リハビリが終了してリリースされていました。オットーともう1頭のラッコ、ヤンキー・ドゥードルはライフヒストリー・トランスミッター(LHXタグ)とVHFトランスミッター・ビーコンという2種類の遠隔計測装置を体内に装着した初めてのラッコでした。

 

リリース後ごく最近まで2頭は元気にしていました。しかし、12月初めオットーに以上な行動が見られ、体調が悪化していました。カリフォルニア魚類野生物局原油流出防止対応担当の上席生物学者マイク・ハリスと海洋哺乳類センターのボランティアらは何度もオットーを助けようと試みましたが、逃げてしまい捕獲することができませんでした。オットーの死体は発見後、サンタクルーズにあるカリフォルニア魚類野生生物局原油流出防止対応の海洋哺乳類獣医学ケア研究センターへ死後検査のため運ばれました。

2017年9月、リリース後のオットー (Photo credit: TMMC volunteers)
2017年9月、リリース後のオットー (Photo credit: TMMC volunteers)

解剖はカリフォルニア魚類野生生物局原油流出防止対応の病理学者、メリッサ・ミラーとそのチーム、および海洋哺乳類センターの首席病理学者パドレイグ・ドゥイグナン、リサーチアシスタントのバービー・ハラスカ、客員レジデント病理学者ノバート・バン・デ・ヴェルデにより行われました。オットーの死因は溺死でした。オットーの肺と気道は海水と体液で満たされていました。しかし、組織のインプレッション・スミア(そのままの標本もしくは切除した標本の表面に押圧し得られた細胞、微生物もしくは液体の試料。一般に細胞診検査に使用される)の顕微鏡検査や真菌培養が陽性であったことから、コクシジオイデス症(コクシジオイデス・イミチスという真菌により引き起こされる感染症)による合併症の脚気溺死したということが分かりました。この感染症は一般にはバレー熱という名で知られていますが、オットーの肺や胸膜(薄い組織の層で肺を守りクッションの役割を果たしている)、リンパ節、脾臓にも広がっていました。

 

動物やヒトにおけるコクシジオイデス症のケースはほとんどが環境から入ってきたもの(吸い込み)です。以前の科学的研究によると、オットーのふるさとがあるカリフォルニア州サンルイスオビスポ群はコクシンオイデス・イミチスが風土病で、オットーの感染源は、地元での暴露による吸入が最も可能性が高いと考えられています。自然に発生しているこの真菌は、感染している個体から別の個体への感染は容易には起こりません。人間が感染するリスクは、主に感染した動物やその組織を扱っている際に怪我をしたり刺さってしまったりした際、あるいは分解が進んでいる感染動物を扱い、真菌の胞子を吸入するリスクがある際などです。カリフォルニア魚類野生生物局原油流出防止対応担当や海洋哺乳類センターのスタッフは座礁した動物のケアや回復をする際、あるいは死後調査を行う際には特別な注意をするよう訓練されています。一般のみなさんは、生きていようと死んでいようと、ラッコを自分で扱おうとするのではなく訓練された専門家の助けを求めるようにしてください。

 

2017年9月にリリースされた際撮影された写真(上記)で肥大したリンパ節が見られます。リハビリの間は臨床兆候は何も示していませんでしたが、オットーはすでに感染しており、2017年6月に最初に保護されケアを受け始めた際にコクシンオイデス症の初期段階にあった可能性もあります。ラッコに関する真菌感染による臨床疾患の期間は知られていませんが、この真菌は慢性的でゆっくり進行する病気をもたらすことが知られています。

 

解剖の際、体内に埋め込まれた2つのタグが取り出されました。これらのタグは当初の目的通り、自由に浮遊する状態で見つかり、癒着や補足の兆候は見られませんでした。外科的に切開した部分は目立ちませんでした。バクテリアやウイルス、真菌胞子を取り除き殺菌した後、海洋哺乳類センターのテナヤ・ノリス他科学者らはLHXタグのテストを行い、アラスカ州スワードにあるアラスカシーライフセンターへそのタグと転送されていない追加データのさらなる詳細な分析を行うため、タグを送りました。LHXタグは解剖の際体内から取り出されたため通常のオペレーションの手順が変更されました。LHXタグは体内に埋められた後のすべてのデータを貯め、そのデータを圧縮し処理したものを転送するため、物理的にタグを扱うと転送されていないデータを追加でダウンロードすることができます。従って、病理報告やLHXタグから得られたデータから私たちが学べることについて、今後の詳細なレポートを待つことになります。

 

予想はされていましたが、初期の解剖では、2つのタグが体内に装着されていたことやその手術はオットーの死とは何ら関連がないことが分かったのはよいニュースでした。

 

そして、嬉しいことに、ヤンキー・ドゥードルは引き続き元気にしており、最近ポイント・レイエス近くでカニを食べているとことをカヤックに乗った人たちが見かけています。

上に記載されているリハビリテーション及びリサーチは、米国魚類野生生物局の認可番号#MA101713-1により行われています。

60° North Science

SADLY, OTTO HAS DIED

Written by Markus Horning with Melissa Miller. Posted on January 12, 2018