【記事】最高裁、「ラッコ排除海域」復活を求める動きにNO | SUPREME COURT HALTS EFFORT TO REINSTATE FAILED “NO OTTER ZONE” IN CALIFORNIA

本日は2018年10月29日付のEarth justiceのブログから、"SUPREME COURT HALTS EFFORT TO REINSTATE FAILED “NO OTTER ZONE” IN CALIFORNIA"をお届けします。
1980年代から海の上の見えない区域に入ったラッコを捕獲してカリフォルニア本土から離れたサンニコラス島へ移すという試みが行われました。これは本来原油流出に脆弱なラッコを守るため別に個体群作るという理由と、加州南部の水産業者からのラッコ排除要請を満たすものでした。しかし移植したラッコのほとんどは定着せず行方不明になったり死んだりしてしまい、本来の種の保全という目的を果たさないと判断され、25年ののち中止となりました。ラッコと水産資源をめぐって競争しているウニ・アワビ業者はそれでもそのプログラムの復活を求めて何度も裁判を起こしてきましたが、今回の裁判で一つの区切りがつきそうです。一連の流れについては、記事下の「関連記事」をご覧ください。

米国連邦最高裁判所は、カリフォルニアラッコの回復の後押しとなる米国魚類野生生物庁による実験計画を終了するという決定を支持し、同庁の決定に対する訴えを棄却

 ワシントンD.C.-米国連邦最高裁判所は本日、米国魚類野生生物局が、失敗に終わった「No Otter Zone(ラッコ排除海域)」として知られる実験プログラムを終了させたことを支持した連邦第九巡回区控訴裁判所の判決の見直しを求める訴えを棄却した。米国魚類野生生物庁はカリフォルニア南部沿岸の歴史的な生息域から排除することにより、このプログラムはカリフォルニアラッコに害を与えるものであると決定していた。

高等裁判所の決定は、パシフィック・リーガル基金が代表となっている水産業者らが、ラッコに害を与え回復を阻害する可能性のあるプログラムを復活させるよう政府に強いることを目的とした数年にわたる訴訟に終わりを告げるものだ。

 

「常識が勝つことになって安心しました。「ラッコ排除海域」プログラムを終了させる決定は妥当ですし、ラッコを守り法に従う唯一の方法でした」とアースジャスティスの代理人弁護士、アンドレア・トゥリースは言う。「ラッコは沿岸生態系の中で替えがきかない存在です。ラッコはケルプの森や海草のある生息地を必要としており、そうした生息地もまたラッコを必要としています。人間に邪魔されることなくラッコが南へ個体群を広げることができるようになれば、ラッコも沿岸生息地も助けることができるのです」

 

アースジャスティスはフレンズ・オブ・ザ・シーオター、ディフェンダーズ・オブ・ワイルドライフ、米国動物愛護協会、生物多様性センターの代理として、魚類野生生物庁の決定を守るため介入を行った。

 

複数の水産業団体は、米国野生生物庁が「ラッコ排除海域」プログラムを行うことによりラッコが生き残り回復していく機会を危険に晒すことになると判断を下したにも拘らず、同プログラムの実施を継続すべきであると当局を何度も訴えた。

 

連邦第9巡回区控訴裁は、ラッコの回復を促すものではなくむしろ阻害するものであると判断した実験的なラッコの移植管理プログラムを終了させることにより、魚類野生生物庁はその責務を十分遂行したと認め、こうした水産業団体に否定的な判決を出した。

 

「この判決はラッコや様々な場所にいる絶滅危惧種に対する勝利です」と米国動物愛護協会の野生生物動物調査担当の管理代理人であるアンナ・フロスティックは言う。「あるプログラムが政府が保護すべき危惧種にとって役に立たないと判明した際には、政府はそのプログラムを改訂したり終了させたりする義務を負うということを裁判所は更に強めてくれました」

 

「最高裁判所の判決は、ラッコが人工的な障壁なく自然に生息域を拡大することができるようにするという全うな判断を行った魚類野生生物庁の決定を確実にするものです。ラッコが回復するには、歴史的な生息域全体に広く分布する必要があります」とフレンズ・オブ・ザ・シーオター評議議長のジェニファー・コバートは言う。「ラッコ排除海域を終わらせるための戦いに約20年携わってきたことが、裁判所に認められて満足です」

 

保全団体は、この判決は絶滅に瀕する種の保存に関する法律で絶滅危惧種に指定されている種の保全や回復に対する野生生物庁の独立した義務を満たすものだとして、高等裁判所の再審に対する判決を守りきった。

 

「最高裁がこの誤った構想のプログラムを終了させるべきという野生生物専門家の意見に従ってくれて嬉しく思います。ラッコや、ラッコを愛する人々はこの勝利を喜ぶでしょう」と生物多様性センターの海洋プログラムディレクター、サカシタ・ミヨコは言う。

 

「カリフォルニアに危惧種であるラッコが回復してほしいと願うなら、回復を妨げるプログラムではなく回復を後押しするプログラムが必要なのです」とディフェンダーズ・オブ・ワイルドライフのカリフォルニアプログラム・ディレクターのキム・デルフィノは言う。「米国魚類野生生物庁は、「ラッコ排除海域」は必要不可欠な生息地へのアクセスをブロックすることでラッコに有益どころか有害であるということを理解したのです。裁判所の判決はその事実を再度断言したものなのです」

背景

1986年、アメリカ魚類野生生物局によりラッコをサンニコラス島に移植し、2つ目の個体群を打ち立てるという計画の一環として、議会は「No Otter Zone」を設置することとした。当時、当局は、移植が絶滅に瀕する種の保存に関する法律で保護され絶滅危惧種に指定されているカリフォルニアラッコの回復に役立つと考えていた。「No Otter Zone」は、ラッコが新しい場所へ進出すれば水産業の妨げになるとの水産業者らの不満に対し、議会が設置したものだった。

 

移植されたラッコの多くはもといた水域へ泳いで帰ろうとした。また、捕獲や輸送の結果死んでしまうラッコもいた。アメリカ魚類野生生物局は最終的に「No Otter Zone」の施行はラッコの回復機会を妨げるものと断定した。2003年、当局は、ラッコがコンセプション岬の南の歴史的な自然の生息域に拡大し、ラッコの回復が達成できるよう、再度「No Otter Zone」の廃止を決定した。

 

水産業団体は、魚類野生生物局が再度「No Otter Zone」を設定するよう、2つの裁判を起こしていた。2015年9月、連邦地方裁判所の判事ウォルターは、そのプログラムの目的はラッコの保護であったがそれがラッコの生存や回復に有害であると判明したにも関わらず、失敗した「No Otter Zone」プログラムを当局に継続させるというのは合理的でないと表明した。

 

2017年3月、カリフォルニア中央地区連邦地方裁判所のドリー・M・ギー判事も、プログラムを終了させるというアメリカ魚類野生生物局の決定に賛同する判決を下した。

 

2018年3月、第9巡回控訴裁は、地方裁判所の判決を支持した。

 

カリフォルニアラッコの個体群は歴史的な低水準からは回復しているものの、汚染、病気、漁業との競争によって引き続き脅かされている。 毛皮貿易商がやって来る前は、カリフォルニアラッコの個体数は14,000〜16,000頭であったと推定されている。近年、その数は約3,000頭を推移している。