【記事】考古学が明らかにするラッコの道具利用 | Sea otter archaeology reveals the most smashing rocks

本日は2019年3月14日付のScience Magazineより、"Sea otter archaeology reveals the most smashing rocks"をお届けします。ラッコがいつごろから、道具を使うようになったのか、そのうち明らかになるかもしれません。

ラッコは、道具を使う唯一の海洋哺乳類として知られており、ムラサキガイやウニ、アワビなどを石を使い、胸を金床のようにして割って開けて食べる。今日、考古学の技術を借りて、生物学者がラッコの「道具」を他の石から選り分けることができると研究により明らかになった。

 

多くの霊長類も石の道具を使うことが示されている。最近、研究者は生物学と考古学を織り交ぜ、700年前ほどまでさかのぼって猿人類や猿が使った道具の摩耗パターンを特定してきた。こうした発見により、同様の手法がラッコの道具に関して適用できるかどうか、研究者らは疑問に思っていた。

 

ラッコが使った石の多くは海底に捨てられるが、海岸で見つかるものもある。ラッコが海から飛び出した石に殻のついたエサをぶつけるのだ。カリフォルニア中央部の河口域にベネット湿地帯と呼ばれるそのような場所がある。この場所で研究者らはラッコの採餌行動とエサをぶつけて割ったあとに捨てた石の調査を行った。

 

10年を超える観察から、研究者のチームは「ラッコのサイン」と呼ばれるものを特定した。道具として使われた石には尖った部分やうねのような、同じ石の他の場所よりも色が薄くなっているところがある。また、研究者はそのエリアで421個の石を更に調査し、そのうち77個は殻を割るためにつかわれていたとサイエンティフィック・リポート誌で発表した。石の付近に砕かれたムラサキガイの殻の破片はその発見を裏付ける証拠となり、ラッコの叩く力とその方法に一致する破損物であることを示していた。

 

明らかな模様がある石により、研究者らにラッコがいつ道具を使い始めたかが分かるかもしれない。石を使う行動がどのくらい行われてきたか、そして個体群の中でどのようにそうした行動が広がってきたのかを知ることで、人間を含む他の哺乳類がどのように道具の利用を発展させてきたのかという、より大きな疑問に光を射す手助けとなるだろう。