【記事】オレゴン水族館のジュノ、シュート練習で健康維持 | She's got game: Sea otter Juno keeps fit by shooting hoops

本日は2019年5月8日付のOregon Zoo Zoo Newsより、"She's got game: Sea otter Juno keeps fit by shooting hoops"をお届けします。先日亡くなった先輩ラッコエディは肘の関節炎のリハビリのためシュート練習を行っていました。まだ若いメスのジュノにとって今はエンリッチメントですが、年齢を重ねていくにつれ、こうした運動が健康に役立つものと考えられています。

保護ラッコに健康増進と楽しみを与える革新的なトレーニング活動

トレイル・ブレイザーズ(訳者注:オレゴンにあるアメリカプロバスケットボールリーグのチーム)のガード、ダミアン・リラードだけが、今シーズン大活躍した唯一の地元のバスケットボール選手ではない。オレゴン動物園の飼育員らは、ラッコのジュノは彼らの中でもジュノが一番ダンクシュートがうまく、町でもシュート率が最も高いかもしれないと言う。

 

数年前、ジュノの仲間であったエディーに高齢化に伴う肘関節の運動の一環として、ボールをプラスチックのバスケットボールのゴールに入れる訓練を始めた。昨年亡くなった時21歳ちかくだったエディは、世界でも最高齢のラッコのうちの1頭として知られ、そのダンクシュート技術で世界に名を馳せた。

 

現在5歳になるジュノがその後継者になるようだ。バスケットボールは初心者だが、遊び好きの海洋哺乳類であるジュノはすぐにコツをつかみ、伝統的なラッコのダンクシュートに若さをもたらし、時には飛び上がる前に360度回転してボールをゴールに叩き込む。

 

「ジュノは本当にかっこいいんです」と当園の海洋生物飼育員、エイミー・ハッシュが言う。「ジュノはエネルギーと熱意にあふれていて、特別な才能をバスケットボールで花開かせているんです」

 

専門家らは、正の強化訓練が動物の健康に重要な役割を果たすと考えている。ジュノのゴール練習は今はエンリッチメント主体だが、この若いラッコが年を重ねれば、更なる健康上のメリットが得られる可能性があるだろうと獣医師らは言う。

 

ジュノのアスリートとしての能力開発は、水中トンネルで園のステラーコーブのラッコ水槽と繋がるバックヤードのトレーニングプールで行われている。

 

オクラホマ大学で動物学を専攻していたブレイザーズ(訳者注:地元ポートランドにあるNBAのチーム)のコーチ、テリー・ストッツがジュノのシュート技術とラッコの保護活動を啓発する能力の両方を高く評価してくれるかもしれない、とオレゴン動物園の飼育係は考えている。ラッコはキーストーン種と考えられており、太平洋沿岸の海洋生態系において、何千もの生物を支える健全なケルプの森の繁茂を助けるという重要な役割を果たしている。

 

 

オレゴン動物園にいるジュノと他の2頭のラッコ、リンカーンと新しく到着したウニ・スシは、みな保護されたラッコだ。カリフォルニアの沿岸で赤ちゃんの時に母親とはぐれ、モントレーベイ水族館のリハビリのための保護・ケアプログラムに連れてこられた。代理母とペアを組むことができなかったため、米国魚類野生生物庁はその赤ちゃんラッコたちを野生に返すことができないと判断した。

 

かつてオレゴン州沿岸に多く生息していたラッコは、1900年代初期に乱獲され絶滅し、1世紀以上州内に定着することができていない。近年では2009年のデポー湾を中心に数頭のラッコが目撃されており、現在は1972年の海洋哺乳類保護法と1973年の絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法によって狩猟から保護されているが、原油流出、漁網、感染症などの脅威にさらされ続けている。