【記事】シェッド水族館、2頭の保護ラッコを受け入れ | Two Rescued Sea Otter Pups Find Open Arms at Shedd Aquarium

本日は2019年7月のShedd Aquarium News Releaseより、

Two Rescued Sea Otter Pups Find Open Arms at Shedd Aquariumをお届けします。ジョージア水族館に続き、シェッド水族館にも2頭の保護ラッコが迎え入れられることになりました。

©Shedd Aquarium/Brenna Hernandez
©Shedd Aquarium/Brenna Hernandez

動物保護とリハビリテーションのリーダーとして認められているシカゴのシェッド水族館は、ラッコの回復に貢献する世界で最も重要なレスキュー、リリース、保全研究、提唱を行う組織であるカリフォルニアのモントレーベイ水族館によって保護された、親を失ったカリフォルニアラッコ(Enhydra lutris nereis)2頭を迎えたと、今日発表した。一時的にそれぞれ870号、872号と呼ばれているこれらの赤ちゃんラッコは、数ヶ月間、レーゲンシュタインラッコ養育室に留まり、重要な発達上の節目に到達し、シェッドのケアスタッフ及び他のラッコとの絆を築くことができれば公式にラッコ水槽に紹介されることになる。

 

ラッコの子どもたちは7月8日月曜日にシェッドに到着し、シェッドの動物保護チームと獣医チームから24時間体制でケアを受けながら、バックヤードで元気に過ごしている。どちらのラッコの子もオスで、年齢は1週間しか離れていない。872号は生後9週と推定され、体重は13.4ポンドになる。870号は生後推定10週で、体重は17ポンドだ。

 

「動物が孤児になったり、救助を必要としているというのは決して良いニュースではないですが、シェッド水族館は、動物のリハビリやリリース、今回の場合、必要としてい動物たちのために安全なすみかの提供を行うなど、支援に乗り出す用意があります」とシェッド水族館の動物部門最高責任者ペギー・スローンは言う。「モントレー水族館にいる私たちのパートナーたちと協力し、この2頭の赤ちゃんラッコを受け入れ、この素晴らしい水生動物についてゲストを興奮させ、教育し続けられることを光栄に思います」

 

ラッコは2頭ともモントレーベイ水族館に運ばれ、米国魚類野生生物庁によって野生に返すことができないと判断された。つまり、母親に育ててもらうことができず、野生で生き延びる方法を教えられていないため、自然の生息地にリリースされても成功しないということだ。シェッドがこのラッコたちに住まいを提供すると申し出たのは、モントレーベイ水族館の成功したラッコ代理母出産プログラムが現在、他のラッコの子どもたちの需要があるからだ。

 

「数十年に及ぶラッコ保護活動の最前線での経験から、モントレーベイ水族館のラッコ保護プログラムは、数百頭ものラッコの保護、リハビリ、リリースを支援し、ラッコの保護と生態系の回復に貢献してきました」と、モントレーベイ水族館のラッコプログラムでラッコの野外活動のコーディネーターを務めるカール・メイヤーは言う。「私たちは、長年にわたるシェッド水族館とのパートナーシップに感謝しています。シェッド水族館は、私たちのプログラムを経た、住むところを必要としているが野生では自力で生きることができないラッコたちに特別なケアを提供し続けることができるのです」

 

2頭のうち先にモントレーベイ水族館に運び込まれたのは870号で、このラッコは5月18日にカーメル湾のスティルウォーターコーブで座礁しているところを発見された。このラッコは健康だったが、母親のもとに戻す試みが失敗したため、このラッコを危険な状態に放置するリスクを避けるため保護された。

 

2頭目の872号は、2日後の5月20日に運び込まれた。870号とは異なり、このラッコは、アシロマール州立ビーチで強風と荒波の中で泣き叫んでいたところを発見された。ラッコは身震いしており、体温が低く、毛に砂がたくさん付着していた。容体を安定させるため、受入れすることが即決定され、母親を見つけるためのさらなる試みは行われなかった。

 

親を失ったラッコの世話は、食事や検診から、グルーミング、遊びなど、あらゆることを含む広範なケアが必要です。そして、そのレベルのケアを提供するためのスペース、スタッフ、および経験を持つ施設は、米国ではほんの一握りだ。現在、シェッドを含む北米の11の施設が、野生に返すことのできない36頭のラッコのための住まいを提供している。シェッドの職員と動物保護スタッフは、座礁したラッコの子どもたちに新しい住まいを提供してくれないかというモントレーベイ水族館の呼びかけに直ちに応じた。

 

「この2頭のラッコの子どもが到着した瞬間から私たちはずっと大忙しです」と、シカゴへのラッコの旅に同行した、シェッド水族館の上級トレーナー、トレイシー・ディーキンズは言う。「モントレーベイ水族館がラッコにしていることすべてを実際目にし、この2頭の子をシェッドの新しい住まいへ連れてくることは、信じられないほどやりがいのある経験でした」

 

870号と872号が新しい環境に慣れるにつれ、彼らは多くの重要な節目を達成し続けることになる。そうした節目には、エビや貝などの固形食を食べることや、餌を探したり、自分たちでグルーミングしたり、他のラッコやシェッドの動物保護チームと交流したりするするといった重要なラッコとしての技術を身につけることなどが含まれる。

 

「外に出て救助したり、必要としているラッコのために住まいを提供したりすることは誰でもできるわけではありませんが、カリフォルニアラッコのような種が生存できるかは皆で協力し合って努力しなければならない、つまり総動員でしなければならないことだということを忘れてはなりません」とスローンは言う。「ラッコが回復する為に必要な保護を得られるようになった絶滅危惧種保護法のような重要な法律を通過させた献身的な人たちがいなければ、カリフォルニアラッコは今日存在していなかったかもしれません。私たちの仕事は、水族館の来場者と自然のつながりを強め、人々に私たちはみな状況を変えることができる力を持っているんだということを分かってもらう手助けをすることです」

 

これら2頭のラッコは、これまで続いてきたシェッド水族館とモントレーベイ水族館のパートナーシップにおける成功物語の中でも最新のものだ。シェッドが2014年にルナ、2016年にエリーを受け入れたことを覚えている方もいるだろう。その2頭も、シカゴに来る前はモントレーベイ水族館のラッコプログラムを通じて保護され、受入れられたものだ。

 

1984年以来、モントレーベイ水族館は、毛皮取引によって1世紀以上も絶滅の危機に瀕していたカリフォルニアラッコを研究し、その回復を積極的に支援している。この業務の一環として、モントレーベイ水族館は、長きにわたり、座礁したカリフォルニアラッコの幼獣や成獣を受け入れ先に指定された主要な施設であり、親を失った子どものラッコ育て野生へ返すための専門知識、手順や手続きを開発してきた。モントレーベイ水族館のラッコプログラムは、シェッド水族館などの野生生物保護施設や他の水族館と協力し、カリフォルニア沿岸で遭難し座礁するラッコすべてに対応している。これまでに876頭のラッコが運び込まれ、野生に返すのに適さないと判断された78頭のラッコのために新しい住まいを見つけた。

 

シェッドは今後数カ月間、子どものラッコたちの発達に関する最新情報や、いつラッコ水槽で来場者がそのラッコたちを見られるようになるかなどについての情報提供し続ける予定だ。また、正式な名前をつける際の計画についてもシェアする予定だ。シェッドでラッコエンカウンターの予約した方についてはは、この2頭の到着によって影響はありません。

 

海洋野生生物の救助プロジェクトに長い間関わってきたシェッド水族館は、ラッコが生き延びるためのケアを促進するラッコの訓練を行った最初の施設の1つです。シェッドは1989年のエクソン・バルディーズ号原油流出事故後、野生生物の回復活動に参加し、多くのみなしごとなったとなったラッコの子どもを受け入れた。当水族館は現在、ラッコの子どもたちのリハビリの専門家として認められている。シェッドのリージェンステイン・ラッコ・ハビタットで暮らすラッコ、アラスカラッコ1頭とカリフォルニアラッコ3頭のほぼすべてが、保護されたラッコだ。

 

シェッド水族館は、今回のラッコの保護とリハビリのための寛大な支援をしていただいたリージェンステイン財団に感謝している。水族館の長年の友人である同財団は、長年にわたってこれらの動物に多大な貢献をしてきており、リージェンステイン財団ラッコハビタット及び養育室でにおいて専門的なケアを与えることができるよう支援をしてくださっている。また、今回のラッコの保護については、ローランとミルナ・ブロムリーにより、寛大な追加支援をいただいている。

 

Shedd Aquarium Press Release
Two Rescued Sea Otter Pups Find Open Arms at Shedd Aquarium
July, 2019