【記事】シェッド水族館に2頭のラッコ | Two rescued sea otter pups find a home at Shedd

本日は2019年7月15日付のシェッド水族館のブログより、"Two rescued sea otter pups find a home at Shedd"をお届けします。
記事の翻訳のペースが少し遅れていて申し訳ありません!

7月8日月曜日、モントレーベイ水族館により救助された2頭のカリフォルニアラッコが仲良くシェッド水族館の養育室の水槽と、飼育員らの心の中に飛び込んだ。2頭はバックヤードで数か月24時間体制のケアを受け、その間飼育員らと絆を築き、生きるために必要なスキルを学び、4頭の成獣のラッコたちと交流を深めてから水族館来場者の前にデビューすることになる。

 

元気な2頭のオスのラッコの子どもたちは一時的に870号と872号と呼ばれている。これはモントレーベイ水族館が受入れの際に付けた番号だ。カリフォルニアにあるモントレーベイ水族館は世界でももっとも進んだレスキュー、リリース、保全研究、啓蒙団体としてこの絶滅に瀕するラッコの回復に貢献し、座礁したカリフォルニアラッコの幼獣や成獣をまず受け入れる施設となっている。モントレーベイ水族館からシェッドに1頭、その後2頭のラッコの子どもが引受先を必要としているとの連絡があった。

 

「動物が親とはぐれたとか、救助を必要としているという話を聞くのはいいことではありませんが」動物オペレーション部門長のペギー・スローンは言う。「シェッド水族館はリハビリが必要なラッコであれ野生に返すラッコであれ、あるいは今回のように安全な住まいを必要としているラッコであれ、いつでも手を差し伸べる準備ができています。この2頭を受け入れ、当館の来場者の皆さんにこの素晴らしい動物について興奮と教育の機会を引き続き与えることができるモントレーベイ水族館のパートナーの皆さんとお仕事ができることは光栄です」

 

新入りラッコちゃん

870号は濃い茶色の毛色で、生後10週間と推定され体重は17パウンドだ。このオスのラッコは5月18日にカリフォルニア州中央沿岸部のカーメル湾のスティルウォーターコーブで座礁していたところを発見された。健康状態はよく、レスキューチームは母親を見つけようとしたができず、その子供のラッコを危険な状態で一人で放置することを望まなかった。

 

明るい茶色の毛色の872号は、生後約9週間で体重は13.4パウンドで、2日後に運び込まれた。このラッコはモントレー半島のアシロマー州立ビーチで強風と高波の中、キーキーと高い声で鳴いていた。このラッコの毛は砂まみれになっていたが、それは高波の中でもまれていたことを示していた。また体温が低下しふるえており、死の危険性があった。レスキューチームは母親を探すのを諦め、容体を安定させるため水族館に連れ帰ることを決定した。

 

2頭のラッコたちはまだ非常に幼くして母親とはぐれてしまい、野生で生きていく方法を習得していなかったため、米国魚類野生生物庁の生物学者らは2頭を野生に返すことができないと判断した。モントレーベイ水族館の代理母プログラムが当時他のラッコの子どもを受け入れ飽和状態にあったため、シェッド水族館に受け入れてもらえないかと打診があった。

ラッコとともに数十年

草分け的なラッコの代理母プログラムは、救助されたラッコの子どもと水族館の経験豊富なメスのラッコをペアにし、海へ返すための準備として、生き抜くためのスキルを学ばせるものだ。1984年以来、モントレーベイ水族館のラッコプログラムは数百頭のラッコを救助し、リハビリを行い、野生に返し、ラッコの保全と生態系の再構築に貢献してきた。このプログラムにより、レーゲンスタインラッコハビタットにいる元気な2頭ーシカゴではルナやエリーの名で知られている681号や719号を含む78頭の野生に返せないラッコが新たな住まいを提供された。

 

モントレーベイ水族館のラッコプログラムのラッコ対応コーディネーターであるカール・メイヤーは言う。「シェッド水族館とのように、長くパートナーシップを維持できていることに感謝しています。そのおかげでこのプログラムを通じて野生で生きていくことができないけれども住む場所を必要としているラッコに対し、特別なケアをずっと与えていくことができます」

 

シェッド水族館は現在、36頭のカリフォルニアラッコに住まいを提供している北米の11の園館の一つだ。私たちの経験は1989年、壊滅的なエクソンバルディーズ原油流出事故の後に行われた大規模なラッコのリハビリを助けた際に始まった。水族館はレーゲンスタインラッコハビタットに、原油流出事故で親を失い野生に返すことができない4頭のラッコを迎え入れて開館し、その後最新の2頭を含め12頭のラッコがそれ以来シェッドに受け入れられている。当館はラッコの子どものリハビリにおける専門家として認められるようになった。

24時間体制のケア

親を失ったラッコは集中した幅広いケアを必要とする。2頭のシカゴへの旅に同行したシニアトレーナーのトレーシー・ディーキンス(上写真の右、モントレーベイ水族館にて)は言う。「到着した瞬間から、この2頭のお世話でてんてこまいでした」

 

救助されたラッコはまだ幼く、レーゲンスタインラッコハビタットの養育室のキッチンで作られる特別なラッコ用の調合ミルクを数時間おきに与える必要があある。少しずつ細かく切った魚やイカ、貝へとうつり、その後大きく切ったもの、そして最終的には自分で潜って取って割って食べなければならない貝など丸ごとの魚介類へと変えていく。自分でグルーミングすることを覚えるまでは、養育室の子ども用水槽で泳ぎの練習を行ったあとは、ラッコたちの毛は念入りにタオルで乾かしふわふわにして保温できるようにしてあげなければならない。

トレーニングは餌やりと連動して行われ、餌やりセッションはエンリッチメントと交互に行われ、ラッコが泳いだり、潜ったり、エサを獲ったり、問題解決したりするスキルを向上させる様々なおもちゃが用意されています。トレーナーとのこのような交流を行うことで、ペースのはやいラッコの身体的および精神的刺激に対する需要を満たすことができる。

協力がラッコを助けるという大きな仕事を可能に

動物オぺーレーション職員のスローンは、毛皮交易により1世紀以上前にラッコの個体群はほぼ一掃されてしまい、今でも原油流出や気候変動など脅威に晒され続けていると述べ、「誰でもラッコを助けに行き住まいを提供してあげられるわけではないけれども、わたしたちはカリフォルニアラッコのような種の生存は、チームワークにかかっていて、わたしたちみなが関わっていかなけれなならないことなのです」

 

スローンは言う。「個体群の回復に必要な保護を与える絶滅に瀕する種の保存に関する法律のような重要な法律を通過させるために尽力した人々がいなかったら、カリフォルニアラッコは現在存在しなかったでしょう。私たちの仕事は水族館の来場者と自然との結びつきを促進し、私たちみんなが現状を変えていく力があるのだということをみなさんに理解してもらうことです」

 

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Two rescued sea otter pups find a home at Shedd

July 15, 2019