【記事】「ラッコ狩り」で生きる | What's it's like to hunt sea otters

今日は2014年5月2日付のVoxの記事、'What's it's like to hunt sea otters'から。ラッコ好きな人には多少ショッキングな内容もあるかもしれません。
現在でも一部のアラスカの先住民たちにはラッコ狩りが許可されていますが、捕鯨同様、「獲る」側と「護る」側双方の言い分があります。あまり見かけない「獲る」側の意見をご紹介します。誤訳御免でお願いします。

はじめに

アンガスクは、アラスカ南東部でラッコ狩りを生業としているハンターです。Voxが以前ラッコの悪態についての記事を掲載した後、彼が連絡してきたので、彼の側の言い分を話してくれるようお願いしました。彼へのヘイトメールを防ぐため、記事中では、彼の英語名ではなく、先住民としての伝統的な彼の名前アンガスクで呼ぶことにします。ラッコ狩りがどのようなものか、彼はVoxの記者ディラン・マシューに次のように話してくれました。

"撃つときは頭を狙います"

私はずっと猟をしてきました。6歳の頃、罠を使ってリスを獲り始めました。近所の人は、リスの毛皮1枚につき1ドル払ってくれました。彼はちょうど家の断熱材を取り替えていたのです。8歳で最初御ライフルを手にして、ライチョウを獲って晩御飯に食べました。最初にヘラジカを撃ったのは14歳の時です。


大学へ行くのにアラスカを離れたのですが、8年前にアラスカの南東部に戻ってきました。当時、ダンジネスクラブ(注:アメリカで一般的に食べられているカニの1種)を商売で獲っている友人の中の1人が、私にラッコ狩りを勧めてくれました。その時は断りました。アラスカの先住民として、ちゃんとした理由なく生き物を殺すことは間違っている、と年長者に教えられてきたからです。


でも、それから間もなく、ここアラスカ南東部でラッコがどんな悪さをしているのかを知りました。それでラッコ狩りの準備を始めました。私は、ラッコと人間が海産物をめぐって競争しているところでしか猟はしません。アラスカ先住民は、自分たちが食べるカニやウニ、その他の動物を確保したいところでしか、ラッコ狩りはしませんでした。大昔からそうです。


食べ物があるところに、ラッコはいます。ラッコは毎日体重の20~30%を食べます。私が獲った雄のラッコは最大で100パウンド(約45kg)、雌で80パウンド(約36kg)あったので、20~30%というとかなりの量食べていることになります。他の野生動物と同様、ラッコも食べる量以上に獲物を獲ります。私が見たラッコは、カニを何口か食べたあとポイッと投げ捨てて、別のを獲っていました。獲った獲物を全部食べるわけではないので、環境には大きな影響を与えます。ラッコがいた場所の海底は月面のように荒れていた、と言うダイバーの話をたくさん聞きました。


猟をするところへは、小さい飛行機で行くこともありますし、ボートで行くこともあります。いずれにしても、猟をするときはボートに乗ります。ラッコはハンターから逃げるため、優れた聴覚と視力を駆使します。水中では音は速く伝わるため、ボートが近づいてくるのが聞こえるのです。ラッコがたくさんいると分かっているところへ行くときは、たいていモーターボートを使います。ラッコにはボートが近づいてくるのが見えているので、ラッコに直接近づくのではなく、ラッコが浮かんでいるところの片側もしくはもう片方の側に近づきます。ラッコを撃つのは、ラッコが背中を向けて潜ろうとしている時を狙います。



ラッコは頭か足の先が水に出ているだけなので、ほとんどの場合、撃つのは頭です。そのほうが、早く事が済むし、余計な苦痛を味わわせることがないからです。私にとってはそれが大事です。

sea otter hunt

仕留めたラッコを引き上げるアンガスク(c)Ahngasuk

"ラッコの肉は美味しいですよ"

ラッコの肉は美味しいですよ。ラッコは美味しいものばかり食べますから、ラッコの肉も美味しいことは想像できるでしょう。私も食べることはありますが、たいていはコミュニティの年長者たちにあげます。狩をする際は、海洋ほ乳類の研究者たちのために生体標本を集めます。まるごと提出することもありますが、研究者たちが欲しがるのは血や歯、もしくは臓器の一部だけです。


私は毛皮も使います。最初に狩に行ったあと、私は大きいほうの毛皮を年長者に贈りました。今年は、ラッコの毛皮を使った工芸品の注文がいくつか入っていましたが、その工芸品を作る前に別の年長者にマフラーを贈りました。年長者たちは私たちのような若い世代の人たちに、多くの知識や知恵を与えてくれ、生きるすべを与えてくれます。だから私たちに与えてくれた知恵を使って、年長者に何かを与える手助けをするのが私たちの世代の役目なのです。


みんなが言うように、ラッコの毛皮は本当に素晴らしいものです。ラッコの毛皮を使った工芸品を売れば、狩の費用が賄え、獲ったものの一部を慈善活動に使うこともできます。たとえば、私の友人の一人は化学療法を受けたため髪の毛が無くなってしまったのですが、私はその友人のために、その頭を隠せるようにラッコの毛皮で素敵な帽子を作ってプレゼントしました。


私が使わない部分や、科学のために寄付しない部分については、カニが住んでいるところに戻します。そうやって、ラッコは自分たちが獲ったカニの数を僅かばかり戻すことができるのです。ラッコの命を奪うことは、ある種の後ろめたさを感じます。しかし、その罪の意識を受け入れることが大切だと私は思っています。命を奪うということに敬意を持ち続けることが大切です。狩りをすることは、命の輪の中に加わる一つの道です。狩りをするということの一部がそのような敬意であるということが、絶対に必要なのです。


ラッコ猟はアラスカの沿岸部に住んでいる先住民だけに許可されています。獲ったラッコは30日以内に登録しなければなりません。つまり、毛皮と歯を魚類野生動物局に提出しなければならないのです。魚類野生動物局は歯を受け取り、毛皮に標識を付けて、私に何枚か書類を書かせます。国がアラスカ先住民の工芸品として許可するのはこういうものです、という決まりがあります。たとえば、伝統的なブランケットは、裏地がないと他の人に渡すことは許されません。

 

国はこの決まりについては非常に厳しく、1人を投獄して1万ドルの罰金を払わせるため、予算を何万ドルも増やしています。そうやって、動物を保護しているとでも言いたいのでしょう。

"そのラッコは私の思い込みが間違っていたことを身をもって示したのです"

猟そのものはそれほど危険なことではありません。猟に行ったとき、自分が乗っていたボートには大きすぎる波に襲われたことは何度かありました。小さい飛行機で飛ぶことの安全性も考えなくてはなりません。乱気流に巻き込まれ、機体がバウンドするような時は、とても安全だとは思えません。

 

以前、ラッコの胸を撃ったことがありました。胸を撃つことはまれです。たいていは頭を撃つからです。血のサンプルを取ったあと、ボートが汚れないよう、5分ほど血抜きしました。ラッコは死んだものと思っていましたが、そのラッコは私の思い込みが間違っていたということを身をもって示したのです。20分ほどたって、そのラッコが寄ってきて、ほんの数フィート先から私の目を睨み付けました。そのラッコはボートの上で、私と、私の連れとの間にいました。もう一度そのラッコを撃ったのは、言うまでもありません。

 

そのラッコは立ち上がり、私の方へ向かって突進してきました。噛まれる、と思いました。こちらに向かって、そのラッコは他のラッコの死体の足に噛みつきました。連れが棒を使って殴ったので、すぐに済みました。

 

アザラシやアシカは、一般的にはあまりラッコと交流しません。ラッコが他の動物を虐待するという記事を読んだことがあるので、それも理解できます。雄のラッコが、小さい雄のラッコをいじめているのを見たことがあるので、その記事に書いてあったことは本当だと思います。

 

敢えて言うなら、ラッコは非常に獰猛になることもある生き物ですが、それと同時に、敬意を払うべき存在でもあるのです。

らっこちゃんねるより

・・・死んだと思っていたラッコが最後の力を振り絞って立ち向かってきた時の話を訳すのは、本当に胸が締め付けられる思いでした。やはり、どんな生き物も生に執着するだろうし、どんな理由があったにせよ、自分を殺めた相手に対して多少の復讐心が生じるものなのだろうと感じたからです。


アラスカラッコはカリフォルニアラッコと比べて数はずいぶん多いですし、アメリカでは多少先住民が優遇されている部分もあるので、伝統的な生活を維持するという大義名分で政府の管理の下ラッコ猟が許されているのでしょう。ラッコが好きな人間にとってはとても胸の痛む話ですが、それで生活をしている人もいるということも事実です。


いずれにしても、人は生きるものすべてからその命をもらって自分の命を繋ぐことしかできないので、ラッコに限らず、すべての生き物の命に対する敬意を忘れてはいけないですね。

記事元:May 2, 2014

What's it's like to hunt sea otters

by Dylan Matthews

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コメント: 1
  • #1

    paradoxobaraq (土曜日, 04 3月 2017 00:40)

    (文中より)
    >私が見たラッコは、カニを何口か食べたあとポイッと投げ捨てて、別のを獲っていました。

    ちょっと笑っちゃいましたが、食べ残したものを別の海中生物が捕食してるんですよね。
    そういう意味では、非常に貴重な存在であるということが改めて分かります。