【記事】ラッコを愛するあまり死に追いやらないで | Sea otters: Loving them to death?

本日は2016年5月19日付のNews Channel 5から"Sea otters: Loving them to death? "をお届けします。レジャーシーズンになり、モントレー湾ではラッコをはじめ他の生き物へのハラスメントが増大しています。意図しないハラスメントがほとんどだとは思いますが、意図的であるにしろないにしろ、そのハラスメントが動物にもたらす結果は同じですから、教育が非常に大切になってくるのではないでしょうか。

カリフォルニア州モスランディング -- モントレーのほうが知名度はありますが、モスランディング、特にエルクホーン湿地帯は野生動物の自然な生息地を見る最適な場所の一つだ。毎年何千人もがこの国立保護区を訪れる。

 

特にラッコは観光客には人気だ。80頭から200頭がこの湿地帯に生息しており、ラッコを見る主要なスポットとなっている。真実に直面しよう。ラッコはキュートでふわふわだ。しかし、脆い。

 

「ラッコは生存できるかどうかの瀬戸際にいます。ラッコはアザラシやアシカのような脂肪層がありません」モントレー湾国立海洋保護区の施行コーディネーター、スコット・キャシーは言う。「だからラッコには厚い体毛があり、代謝が高いのです」

 

ラッコは生きていくためだけに、体重の3分の1の量を毎日食べなければならない。食べていない時は、休んでいる。休んでいるときに人間が近づきすぎたり、長い時間いたりして邪魔されてしまう。アメリカ魚類野生生物局、カリフォルニア州魚類野生生物局とモントレーベイ水族館は湿地帯に住むラッコを研究し、そうした行動が影響を及ぼすということを発見している。

 

「誰かが近づいてラッコが行動を変化させられる度に、ラッコが落ち着いて邪魔される以前の状態、つまり寝たり食べたりグルーミングしたりする状態に戻るまで平均15分かかることが分かっています」とキャシーは言う。「だから1時間に4度邪魔されてしまえば、ラッコの生活パターンが完全に中断されてしまうことになります」

 

ラッコを守るための連邦法はある。しかし海洋哺乳類保護法はガイドラインはあるがルールは設定されていない。

 

「ラッコや他の海洋哺乳類が振り返って視線を向けたら、それはその動物があなたに注意を向けているということです。その動物にさらに近づこうとすれば、動物たちの心拍数を早くすることになります」

 

地元のツアー会社はこうした法律を意識し、顧客にその法律について教育しようとしている。

 

カヤックコネクション(訳者注:モスランディングにあるカヤックレンタルの会社)は顧客に対し、少なくとも4回注意を促している。安全距離を保つこと、カヤックの先を動物に向けないこと、動物が近づいてきたら静かにするか後ろに下がること。

 

「海の動物たちが自然な状態でいられるよう、またその生活を邪魔されないよう、私たちにできることは全てしようと思っています」とカヤックコネクションのオーナー、デイブ・グリッグスビーは言う。

 

「野生動物に対して大声をあげたり叫んだりしてはいけません」

 

エルクホーン・スルー・サファリ(訳者注:モスランディングにある、エルクホーン湿地帯をボートでめぐるツアーの施行会社)は顧客らに叫んだり、注意を引きつけたりしたいようにしている。

 

「動物たちの生息地では、邪魔をしないことが非常に大切だということを理解してもらおうと努力しています。動物たちにとってそれが生き延びるために重要だからです」とエルクホーン・スルー・サファリのオーナー、ジョー・マンシーノは言う。

 


アメリカ海洋大気庁(NOAA)は観光客に規則をしってもらうには教育やアウトリーチが一番の方法だと言う。しかし、観光客には、彼らにとってラッコとの接触は一度であっても、ラッコは他の観光客からも何十回も接触されているかもしれないということを知って欲しいと言う。

 

「誰かがラッコと一度接触したとします。でも、その人は1週間後、2週間後何が起こっているか分からないのです」キャシーは言う。「そういう人たちは、そのラッコが3か月後、体重が減り弱ってエサも取れずに死んだ姿を想像することができないのです」

 

だから、関係者らは観光客らに、愛するあまり死に追いやるのではなく、責任をもって動物を愛することを力説している。

News Channel 5

Sea otters: Loving them to death?

POSTED: 06:18 PM PDT May 19, 2016