【記事】失われたオレゴンのラッコ・プロローグ:爆弾 |The Lost Sea Otters of Oregon: Prologue

本日は2019年9月19日付Oregon Wildから、"The Lost Sea Otters of Oregon: Prologue"をお届けします。数回にわたる特集です。1960年代終わりから70年代初めにかけて、アラスカのアムチトカ島から様々な歴史的な生息域にラッコが再導入されました。この背景にあったのは、当時冷戦下にあったアメリカの大規模な地下核実験でした。ラッコが現在アラスカ南東部やブリティッシュコロンビア州、ワシントン州などで復活を遂げているのも、意外なことに冷戦と深いつながりがあるのです。

1969年10月2日、爆発がアラスカのアムチトカ島を揺らした。

 

アンカレッジ・デイリーニュース紙によると、この爆発は「周囲の海を泡立たせ」、「その地域の小川や湖ら泥と水でできた間欠泉を50フィートの高さまで吹き上げさせた」という。島の表面に現れたドームは半径3マイルに及び、地下爆発によって形成された巨大なクレータの中に崩れ落ちた。また6900立方メートルの岩がベーリング島の崖から海へ崩れ落ちた。

その爆発原因となったのは、アムチトカ島の歯科4000フィートで爆発した約1~1.2メガトンの収量の核兵器の爆発だった。これはミルローと呼ばれるテストで、アムチトカ島が核兵器のテストを行ったのはこれが初めてではなく、また最後でもなかった。ミルロー爆弾は翌年11月に同島で行われる5メガトン級の弾道核弾頭カニキンテストのための較正爆発実験だった。

 

カニキン実験は米国史上最大の地下核実験であり、7.0の地震性衝撃と格納容器の破損を引き起こし、14,000立方フィートの放射性ガスを大気中に放出した。

 


こうした核爆発に対する抗議が、後の環境保護団体グリーンピースの設立につながった。爆発から25年経過した今でも、実験場は地表を汚染し続けている。

 

核実験では難民も発生した。

 

 

人ではない。

 

アレウト族が住んでいたのは2500年ほど前のことだが、1832年以降は定住者がいなかった。

 

皮肉なことに、アムチトカ島は1913年にアリューシャン列島国立野生生物保護区の一部に指定されたが、住民であるラッコたちはどこか別の場所に非難することになってしまった。1965年から1971年にかけて、ラッコはアラスカ沿岸とブリティッシュ・コロンビア州、さらにはもっと南にまで移動することになった。

1970年7月18日、29頭のラッコの一団がオレゴン州ポート・オーフォードの北にあるケープ・ブランコ沿岸警備隊の滑走路に到着した。観察のためフローティングケージに移し、翌日、オルフォード礁のケルプ床まで牽引しリリースした。翌年にはさらに64頭のラッコがリリースされることになった。

 

ラッコは、その1世紀前に自然の生息地から乱獲され絶滅して以来、オレゴン州沿岸にはいなかった。そして今や、絶滅したラッコの北に住む兄弟姉妹といえるラッコたちは捕獲され、本来の生息地から何千マイルも運ばれ、そして不慣れな海に捨てられた。オレゴン州へのラッコの移動は、ワシントン州に連れてこられた59個体と同様に、ほんの一部の個体群を爆発から救うために行われたにすぎなかったが、歴史的な過ちを正し、種を何千年も前から住んでいた海岸に戻すという間接的な機会を与えた。

 

悲しいことに、こうして移植されたラッコの運命は、島に残った他の多くのラッコたちよりも良いものになった。

内務省環境影響報告書

米国内務省の環境分析は、カニキンテストにおいて「最大20頭のラッコの損失が予想される」と推定した。別の報告では、ラッコの死亡数は240頭に達する可能性があるとしていたが、いずれの推定値も悲惨なほど少なく見積もったものとなった。カニキン後、アラスカ州魚類狩猟局の生物学者の推計によると、この核実験によって300~800頭のラッコが殺されたという。その数はおそらく1,000頭にも及んだかもしれない。その後まもなく、米原子力委員会の科学者たちが、この実験で900~1100頭のラッコが殺されたと発表した。

 

残念なことに、これらオレゴンへ移植されたラッコたちへの「刑の延期」は長続きしなかった。次の10年の間にラッコはオレゴン海岸から再びゆっくりと姿を消していった。

 

そして、誰もその理由を知らない。

 

失われたオレゴンのラッコ(1):バランス>>

らっこちゃんねるより

ラッコと核実験、各地への移植について詳しくはこちら(ラッコと核実験)の記事をご覧ください。

Oregon Wild
The Lost Sea Otters of Oregon: Prologue
September19, 2019